特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議(第7回)議事録

1.日時

令和4年2月16日(水曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

WEB会議方式

3.議題

  1. 特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する指導・支援の在り方等について(主に教室・学校内での対応策)

4.議事録

【岩永座長】  定刻となりましたので、ただいまから第7回「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方に関する有識者会議」を開催いたします。
 本日は皆様、大変御多忙の中、会議に御参加いただき誠にありがとうございます。毎回のことでありますけども、本会議につきましては、報道関係者等より録音録画の申出がありますので、これを許可しております。その旨、御承知おきいただきたいと思います。
 まず、本日の議事に入る前に、会議の留意事項及び本日の会議資料の説明を事務局からお願いします。
【川口学校教育官】  まず、本日の会議はZoomを使用したウェブ会議方式にて開催させていただいております。そのため、1、御発言に当たっては、インターネット上でも聞き取りやすいよう、はっきり御発言いただく。2、御発言の都度名前をおっしゃっていただく。3、御発言時以外は、マイクをミュートにしていただく。4、御発言に当たっては「手を挙げる」ボタンを押していただき、発言が終わりましたら「手を挙げる」ボタンを再度押していただき、手を下げていただくよう御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、本日の会議資料について御説明します。本日資料1-1、1-2、2、3及び4がございます。
 資料1-1は、昨年12月にお取りまとめいただいた有識者会議の論点整理です。また、資料1-2は、事務局で作成した論点整理の概要資料です。
 以上です。
【岩永座長】  ありがとうございました。それでは、議題に入りたいと思います。
 まず、去る1月24日に中教審の教育課程部会が開催されましたが、その部会において私のほうから、本有識者会議における議論の状況について、御報告させていただきました。
 その際、部会の委員の先生方からいただいた意見について、資料2のとおりまとめておりますので、本資料について、事務局から簡単に御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【石田教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは、1月24日に開催された教育課程部会におきまして、本日お手元にお配りしている資料1-2を用いまして、岩永座長から有識者会議の概要、アンケート、論点整理について御報告を頂戴いたしました。その後、教育課程部会の委員の先生方との間で意見交換が行われました。
 その際いただいた御意見を今、提示しております資料2のとおり、概要としておまとめしておりますので、ここで簡単に御紹介を申し上げます。
 まず、今映っております1ページ目の1つ目から3つ目の丸に関わるところでございます。特異な才能のある児童生徒に関する議論をめぐって、総論あるいは基本的な考え方に関わる御意見を頂戴しました。様々な子供の多様性に対応した教育を行う一環として捉えること、どの先生にとっても学級経営、学習指導、生活指導を進める際に大事にしなければならない視点であること、平等主義から公正主義への転換の必要性について、御意見を頂戴しております。
 次に、1ページ目の4つ目の丸以降でございます。特異な才能のある児童生徒の定義、児童生徒の見いだし方に関する御意見を頂戴しました。また、才能と困難の関連づけられ方について議論が必要という御意見も頂戴しております。
 続いて2ページ目に参ります。2ページ目の1つ目の丸でございます。
 個に応じた指導との関係というところでございますけれども、特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援について、これまでも優れた教師は実践を積み上げてきたこと、一方で、個別指導に限界があったり、教師が躊躇してしまうことがあったり、保護者や地域社会から冷めた目で見られてしまうことがあったのではないかという御指摘を頂戴してございます。
 次に、2ページ目の2つ目、3つ目の丸でございます。知・徳・体のバランスや人格の完成への配慮、さらに、集団で取り組むことによる社会性の育成の必要性についての御意見を頂戴しております。
 また、2ページ目の4つ目、5つ目の丸でございます。協働的な学びとの関係で、学び合いや教え合いを行うことの大切さ、特異な才能のある児童生徒を生かしていけるような教師の理解あるいはコーディネートに関わる御意見を頂戴しております。
 続いて2ページ目の一番下でございます。あるいは2ページ目の一番下の丸と3ページ目にかけてでございますけれども、環境整備の関係の御意見も頂戴しております。人的リソースの充実、現場で活用できるコンテンツの開発、専門知識を有する人材バンクの活用、さらには大学・民間団体等が実施する学校外の学びとの接続などについての、実証的な研究開発の必要性について御意見を頂戴しました。
 また、学校だけではなく、保護者や関係団体、市民などが関わっていけるための環境づくりについての御意見を頂戴しております。
 さらには、3ページ目の2つ目から5つ目の丸でございます。教員養成や研修における取扱い、地域社会、保護者の理解についての御意見、最後に国立大学附属学校の役割や大学の単位互換制度についての御意見を頂戴したところでございます。
 教育課程部会の委員の先生からいただいた御意見の紹介につきましては、以上でございます。
【岩永座長】  ありがとうございました。私も参加していて、いろんなお話をさせていただいたり、御質問を受けたり、それにお答えしたりしておりましたけれども、そのとき一番感じましたのは、やはりこの有識者会議はいわば専門の方とか、このテーマに特化した優れた先生方が集まって議論しているので、それは当たり前じゃないかということについては、全く議論も出てこなかったわけですけれども、中教審の部会のほうでは様々な立場の方、それから必ずしも才能教育には知見のない方も含めて、いわゆるその一般の市民的な視点からの質問というのもあって、これは目を開かされる思いがいたしました。やはりそこはもう分かっているよねというので、通り過ぎたところというところにもやはり大事な論点とか検討すべきことがあったんだなということを短い時間でしたけども、私は感じさせていただいたというところです。
 今、御紹介のあった教育課程部会の委員の先生方の意見に対する受け止めなどがありましたら、意見交換は会議の後半にまとめて行いますので、そのときに後ほどお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、ヒアリングに移りたいと思います。
 昨年末に取りまとめました「論点整理」においては、「記載された各論点について引き続き議論を行い、今年中に有識者会議としてのまとめを行う予定」とされておりますので、これからは、各論点に従って議論を進めていただきたいと思います。
 資料1-2の3ページ目の、4、今後議論すべき論点を御覧ください。
 このように「論点整理」では、今後の議論の枠組みとして、「学習活動の困難への対応」か「学校生活の困難への対応」かという軸、それから、「教育・学校内における対応」か「学校外における対応」かという空間的な軸を設定して、マトリックスの形に整理しております。
 本日は、マトリックスの表にあります左側部分、表全体で言いますと真ん中の部分ですが、「主に教室・学校内での対応策」について、お二人からヒアリングを行った上で、議論を深めていきたいと思います。なお、マトリックスの右側部分、「主に学校外での対応策」という部分については、次回の会議で議論をしていただく予定としております。
 ここで改めて「論点整理」の関係する部分について画面共有をお願いできればと思います。資料1-1の22ページになると思いますが、まず、よろしいでしょうか。
 まず、「学習活動の困難」については、児童生徒が通常過ごす教室の中で困難を解消する方法にはどのようなものが考えられるかということで、授業における教材や指導方法の工夫、個に応じた指導の在り方に関することが、具体的な論点として記載されております。
 また、学校において、教室以外で学習できる場を確保する方法にはどのようなものがあるかという点についても記載されています。
 一方、「学校生活の困難」のほうにつきましては、学級経営・生徒指導・キャリア教育の方策や、適切なサポートを受ける形での困難の解消について記載されております。また、学校において、教室以外で安心して過ごしたりできる場を確保する方法にはどのようなものがあるかということについても記載されております。
 両者に共通して、特別の支援を必要とする児童生徒に対する配慮や支援の考え方のうち、有効な知見があるかという記載もあります。
 それを振り返りました上で、本日はこのような論点について、ヒアリングを踏まえ、具体的な議論を行っていただきたいと考えております。
 それでは、まずは天童市立天童中部小学校の、大谷敦司校長先生から御発表いただきます。対面で会議をしているときには、遠方より御苦労さまですと、遠方よりありがとうございますということを言うんですけれども、Zoomですので。天童中部小学校の取組については、第2回会議での奈須教授からの発表の中でも触れられておりまして、論点整理の7ページにもその記載があります。本日は、特異な才能のある児童生徒を含むかどうかはさておき、個別最適な学びの実現に向けた通常の公立小学校における指導上の工夫とはどのようなものがあるかについて、お話しいただくことにしたいと思います。
 なお、発表に対する御質問や御意見は、お二人の発表が終わった後の意見交換のタイミングで承りたいと思いますので、テイクノートをお願いします。
 それでは、まず大谷校長先生から「子どもの主体性に配慮した学びを創る」と題して御発表をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【大谷校長】  では、よろしくお願いいたします。画面を共有させていただきます。
【岩永座長】  見えております。よろしくお願いします。
【大谷校長】  ただいま御紹介いただきました、山形県、昨日からの雪でもう辺りは真っ白なんですが、その山形県の天童市立天童中部小学校の大谷敦司と申します。よろしくお願いいたします。
 「子どもの主体性に配慮した学びを創る」というテーマでお話をさせていただきます。
 まず、最初に教職員で考えたこと。10月頃になりますと、どこの学校でも教育課程の編成会議というのが行われます。そこでは、最初にどういう行事予定を立てるか、そういうことをやる学校はちょっと考えもので、どういう子どもを育てていこうかということを考えるわけです。
 そうしたときに、私たちは、今までのような教師主導ではなくて、子どもたちの主体性を大切にした教育を進めることができないか。そうすれば、子どもたちは自分らしく学び、自分のよさを一層発揮できるのではないかと考えました。
 これは、現行の学習指導要領「個に応じた教育の充実」ということに関係ありますし、その学習指導要領では、主体は教師から学習者へ移っていますし、主眼も、教授法から子供たちがどう学ぶかという学習法に移っているということに関係しています。
 このような考え方は令和3年度答申でも、「多様な子供たちを誰一人取り残すことのない」、「多様な個性を最大限に生かす」等々のことで後ろを押していただいたと感じて進んでいます。
 子ども主体と言っても、なかなかその判断基準とか考える視点が必要ですので、我々は自由、自己決定、こちらにある6つ、特に意欲というところを考えました。
 これまでの学校というのは、圧倒的に子どもの自由が少な過ぎたという反省があります。自由があるからこそ、学ぶことに意思が表れ、振り返り、そして責任も感じるようになると考えて、私たちは進み始めました。
 「子どもと学びを創るための共通理解として」、ここにスライドが3枚ありますが、このスライドはもう事あるごとに、3年間何度も何度も見直しています。なぜかというと、どうしても困ると子どもが悪いとか、ああいう保護者だからとか、そういうふうなことにやっぱり考えがちなんです。それをできるだけ、我々は弱いですので100%というのは難しいんですけど、できるだけ自分たちの問題として捉えられるように、このスライドに戻る。「子どもを信頼する」というところから始めるというところに戻るためのスライドです。
 私たちの学校には合い言葉が二つあります。一つは「子どもたちが、今も未来も幸せにくらすことができるように支援する」。この場合の幸せは、瞬間的なハピネスではなくて、持続的な暮らしというウェルビーイングを示します。簡単に言うと、未来のために今を我慢しないということです。今の充実が大切だという話です。
 もう一つは、「子どもたちが、最終的には私たち(教職員)がいないところでも学び合うことができるように支援する」。ですから、今日の授業を明日もするという感覚をなるべく持たないようにするということです。これを我々は主体性を別な言葉で言い換えていると思っています。
 めざす授業は、「子どもがする授業」です。ちょっとこなれていない感じですが、私たちはこれが一番ぴったりきた。簡単に言うと、自立した学習者の育成を目指すという意味です。
 研究理論は2つしかありません。「理解」と「覚悟」です。理解は内容研究です。内容研究というのは、育成を目指す資質・能力に照らして教科論、カリキュラム開発を進めるということ。
 そして、子ども理解というのは、その内容やカリキュラムに即して、潜在的に子どもたちが持っている見方、考え方、これも学習指導要領で今回非常に注目されている見方、考え方を明確にしておくということです。興味・関心を含めて。
 これらは授業の事前の問題ですので、始まってしまえばもう覚悟を持って子どもたちを見守るという、これが研究理論です。
 そうすると、計画等々にずれが出ます。それを我々がカリキュラム・マネジメントしていくということになります。
 本校の授業の柱は、4本あります。スタイルが4つあります。一つは、仲間と教師で創り上げる授業、これはいわゆる普通の授業です。それから自学・自習、これは教師に代わって子どもがする授業です。子どもたちが板書もしていくことになります。そして、今からお話し申し上げるマイプランとフリースタイル、下の3つで時間的におよそ2割、普通の授業が8割というバランスで、今のところ行っています。
 2割といいますと、1日5時間の授業があれば、ならしてしまえば、1日1時間は、子どもたちがより自由度が高い学習をしていくということになります。
 では、具体的な話をさせていただきます。マイプラン学習と我々が呼んでいる学習、一般的には単元内自由進度学習と呼ばれています。どんな学び方をするのか。どんな学び方が自分が得意なのかということを自分で分かっていく学習です。
 取組の基にある考え方は、子どもたちは学びたがっている。これには例外はないと思います。ただし、「みんなが同じよう」に学ぶことができるわけではない。経験則で我々の経験で言うと、子供たちは学びたいんですが、誰かの指示で学びたいわけではないということです。簡単に言うと、興味・関心、速さ等々が一人一人違うということです。
 例えばスピードですが、ふだんの授業で録音してみるとよく分かりますが、教師がよく多用する言葉に「ちょっと待って」というのがあります。これは、内容的に自分の予想と違うというパターンと、学ぶスピードが違う、とにかく子供を止めるということがよくあります。
 我々がこの子ども主体の授業をしていくことで、8割の授業でも、「ちょっと待って」という言葉が大分減ってきたなと思っています。自分で学ぶ計画を立て、学習を振り返り、計画を修正しながら学んでいきます。学習の自己調整力を高めながら、自らの判断と責任で自由に学んでいきます。
 枠組みとしては、普通の教科を組み合わせていくという形になります。およそ15時間。特別支援学級を含め、全学年全学級で本校では実施しています。ただ1年生は、1学期は厳しいので2学期からとしています。それから指導体制ですが、学年の学級オープンとなることが多くなってきました。後ほど、写真を見ていただくとお分かりいただけると思いますが、自分の学級の子どもたちを担任が指導するということを超えて指導していきます。場所は、それぞれ子どもがここでやりたいということを優先して行っていきます。
 これは今年度の3学期、今、1月下旬から2月中旬にかけて行われているマイプラン学習の内容を一覧にしたものです。2学期、3学期はおよそ期間を合わせて行っていきます。マイプラン学習は環境による学習ですので、全ての学年が始まれば、学校内の掲示物や道具の設置などが全て変わってきます。子どもたちが、ああ、学校が変わったと思える期間になります。
 マイプラン学習についてのアンケート結果、昨年度末にしたものについてお知らせをしておきます。面白かった、楽しかった、楽しく学習できたという子どもたちが95%となりました。もちろんちょっと厳しかったというお子さんがいます。そのお子さん方の中で、例えば先生にもっと教えてもらいたかったと答えた子たちがいます。これについては聞いてみたんですが、言葉がちょっと不適切だったらお許しいただきたいですが、上位層の子どもたちは、教えてもらうともっと深いところまで行けるということを言っていました。ちょっと厳しいお子さんたちは、やっぱり先生から教えてもらったほうが計画も立てやすいということでした。
 いずれにしても、その辺がマイプラン学習のう本校の課題ですし、解決しなくてはいけないものだと思っています。
 来年度はやりたいですか、つまり今年度ですが、やりたいですかということについては、9割の子供たちが来年度もやりたいということでしたので、今年度も実施しています。
 マイプラン学習の、実際についてお話しします。3年生についてです。
 これは「磁石の不思議」という単元です。左側にあるのが、学習の手引きです。こちらには内容等々が全て書かれています。子どもたちは自分が納得できるまで実験をしていきます。このように非常に集中した姿で、コンピューターに近づき過ぎですが、学習をしていきます。発展的な学習についてもそれぞれ自分が考えたおもちゃを作っています。左側はちょっと写真だと分かりにくいんですが、非常に隠し扉などがある迷路を磁石で作りました。右側はUFOキャッチャーです。
 平行して国語についても行われています。「ことわざ名人になろう」・「詩の工夫を楽しもう」ということです。
 この写真をなぜ出したかというと、自分の計画で学習しているんですが、このお子さんは、理科の勉強を早くしたいんです。それで磁石を手に持ちながら国語の学習している、こういう姿は微笑ましいなと個人的には思っています。
 それから、全て我々が環境を整えるということではなくて、このように、子供たちの作品を掲示していく中で環境が整ってくる、子どもたちも一緒に環境を整えていくということが、マイプラン学習の本校の特徴だと思っています。「集団」の中で、ただし「個」で学んでいきます。この写真は、このお子さんは本当は今日国語なんですよ、計画は。でも理科をやっているんです。君、計画と違うよねという話をしたら、いや、今日はどうしても理科をやりたいんだと、だから、記録は理科にして明日から頑張ると言っていました。こういう、自分で説明できるということが大切だと思いました。
 このように同じ場所で学んでいますが、一人一人やっていることは違います。こちらも同じです。一緒にやっているんですが、御覧ください、ほとんど視線が違います。自分の学習を、でも一緒にやっているので、同じ場所にいるので安心してやれるということ、これは1年生ですが、自分の学習に本当に没頭しています。
 思った場所で、思った形態で、思ったように学ぶ。こちらのお子さんですが、3セットおもりを持ってきて、とにかく本当に釣り合うんだろうかというのをとことん実験しています。御覧いただくと分かりますが、2連です。ですから、自分のつなぎ方で本当にとことん実験をしています。このお子さん方は、あまり褒められた姿ではないかもしれませんが、段ボールを敷いてひなたぼっこをしながら、勉強しています。こちらはさっき申し上げたように自分たちで環境をつくっています。本当に学習していくと、資料ってこういうふうに広がっていくんじゃないかなと思っています。これは机では到底無理なスペースです。この机のようなものは、本校の技能士さんが作ってくださった手作りのものですが、組み合わせて高さ、広さを作りながら、自分の学習スペースをつくって学んでいます。
 仲間と学ぶからこそ、個人で学べるというのがこちらの例ですが、このお子さんは、QRコードを使って、スクラッチで多角形を作りました。ちょっと見にくいですが、多角形を作ったんです。「できた」と言ったら、仲間が寄ってきて、「私もできた」というふうに話合いをして、最終的には、みんなが違っていたというのでまた散っていくんですが、マイプラン学習では、必要に合わせて集まってきて、また1人に戻る。この1人に戻れるかということが、主体的な学びを見るときの視点だなと我々は考えています。こちらも、ちょうど集まってきて確認しているところです。
 6年生の江戸時代後半の学習です。共通で学んだ後に、ジオラマ風に江戸のまちを作る。みんなのを集めて江戸のまちを作ったんですが、その中の一つを出してきました。このお子さんは、ジオラマの中で芝居小屋を作りました。ちょっとこれも写真だとなかなか立体的に写らないんですが、本当に細かいところまで作られている芝居小屋でした。
 こちらのお子さんは、飛び出す江戸城を作ったんですが、このお子さんは、奈良時代には飛び出す法隆寺を作っているんです。このように自分の興味関心、それから得意に合わせて学習ができるというのも、マイプラン学習の一つの特徴です。
 このお子さんのノート。マイプラン学習の発展として、歴史を自分が決めた視点で見ていくというのがあるんですが、このお子さん、食文化で通史をずっと考えているんですが、自分のキャラクターである「こてつくん」を使いながら、ずっとこう書いています。きれいだなと思って、工夫されているなと思って見ていました。
 それで、このお子さん、普通はどういうノートを取るのかなと思ったら、こういうノートを取ります。特にこっち側ですね、これは自分で工夫して書いてるんです。こういうふうに自分には思えたということなんです。
 同じ時間に取られていたノートがこちらです。授業に聞きましたが、こういうのが一般的なんだという話で、このお子さんのノートというのは、どちらかといえば特別です。それは、こういうマイプラン学習などで、自分の学びを表現できるということから来ているのかなと思っています。
 マイプラン学習については、特別支援学級でも、当然、他学級と同じように行っていきます。ちょっと分かりにくいですが、これは廊下なんです。「ふしぎなろうか」と我々呼んでいるんですが、この「ふしぎなろうか」に学年等によって問題をこういうふうに作っていって、子供たちが自分で学んでいく。ここは陣取りゲームをしています。ここでは釣り合うということを学んでいます。いずれも自分の学習が終わったら、写真で撮って送っていきます。
 これは3学期の例です。「スーパーテンチュウ」と名前がつけられていますが、いわゆるスーパーマーケット、このように先ほどのふしぎなろうかにずっと食品が並んでいます。それを一人一人お子さんに合わせて、タブレットで注文を出して、その注文に合わせて買物をしていきます。それで自分の買ってきたものを最終的にこちらで計算していく、電卓を使ったり、これはもう学年によって違います。
 今、この教室に入っているお子さん方は、1年生から6年生まで、それから知的、情緒、肢体と3つ種別の方が入って一緒に学んでいます。同時に国語も行われていました。自分で今日は国語だというお子さんは、2人だけでしたが、国語の学習を自分の計画で行っていました。
 続いてフリースタイルプロジェクトについてお話しします。
 こちらは、先ほどの学習方法に加えて、学習内容も子どもたちが決めるということです。学び方の得意だけではなくて、学ぶ領域の得意も自分で感じていきます。
 枠組みとしては、総合的な学習の時間のいわゆる個人総合を使っていきます。1回当たり20時間で年2回設定しています。指導体制としては、場所を決めて、担任の先生とは関係なく、体育館の担当は体育館に来た子供たちを指導していきます。4年生から6年生がそれぞれの場所で活動します。もちろん特別支援のお子さんも、それぞれの場所に行きます。子供たちと相談して決めていきます。今年度どんなふうにやっていきますかと。これは、子供と教師の合同プロジェクト会議です。
 実際の中身を。こちらは惑星を作っています。こちらのお子さんは、SLですが、これは始まる前です。予習の段階でここまでもう作ってきました。こちらのお子さんは、水墨画っぽいですが、先ほどのノートを御覧になってくださった方はお分かりだと思いますが、同じようなキャラクターを描いているので同じ子です。このお子さんは、ユーチューブで卓球のサーブを習得しています。
 タブレットがあることが、教師代わりには非常になっています。こちらのお子さんは、卵の殻に色をつけて絵をつくっています。その隣のお子さんはハーバリウムを作っています。こちらのお子さんは、自分が将来就きたい職業について研究をしてきました。最終的には、自然科学系の研究者になろうと言っています。こちらのお子さんは、家から持ってきたノートパソコンを分解しました。最終的にハードディスクがどうしても分解できずに困っているところです。このお子さんは切手のデザインをしています。このお子さんは、飛行機を全く設計図なしで作っています。「設計図は?」と聞いたら「頭の中にある」という話でした。このお子さんは、ジュラシック・パークなんですが、いわゆるリニアモーターカーの理論で、間に恐竜を入れて、これが電磁石で動くはずだったんですが、コイルをこれだけ自分で作って並べたんですが、動かない。なぜ動かないのかということを研究しています。このお子さんは天気の研究です。実験つきの研究です。このお子さんは、心理学を使って人のことをみんなに教えるという研究をしています。
 取組を振り返ってまとめさせていただきます。先ほど申し上げた2割の学習によって、8割の授業も変化してきています。何よりも子どもたちの学習意欲の高まりが大きく、授業しながらその学習意欲をどのように生かすのかということが、我々の授業を考える際の視点になっています。
 1人で学ぶわけですので、やはり自信や自己有能感を高めることになります。ふだんの授業は、みんなで問題解決をしているわけですので、その問題解決に自分の力がどのくらい入っているかというのは、子どもたちがよく分かっています。1人で取り組むということは大切だと思います。
 その子らしい、きらめきというのは、集団の中で個としておのずと浮き上がってくる、際立ってくるということだと思います。自由があれば個性が浮き出ると思います。私たちも、いつもいつも指導しなくても、子供たちの学びをゆとりを持って見れば、一人一人のよさを余裕を持って見られると思っています。
 これは印象で申し訳ないですが、2割の授業では、点数に表れる学力や、いわゆる生活の環境の差が目立たないなと思っています。ちょっと不登校傾向、そのお子さん方も、2割の授業には積極的に参加しています。
 多様な保護者からも、子どもたちが2割の授業を楽しみにしているという声が多く届いています。
 今後に向けて考えることです。子どもたちは生まれながらにしてやはり有能な学び手です。子どもたちの主体性を大切にした取組を今後も推進していきたいと思います。その際、こういう「型」ということよりも、先ほど申し上げた自由、意欲のような理念をどうやって具現化するかということを今後も考えていきたいと思っています。
 3つ目ですが、あくまでも子ども主体ですので、子どもたちと「相談」をするということも、手間を惜しまずに子どもたちと話をして、何をやりたいのかということを考えていきたい。それから、保護者や地域の方々にも理解していただく必要がありますので、学校教育についての発信を続けていきたいと思っています。
 最後ですが、ウェブサイトのNHKハートネットテレビで、松村先生にもコメントいただき、子どもたちの姿を2日間御紹介いただいたんですが、それが今記事になっています。本としては、上智大学の奈須正裕先生が、本校を舞台にして本を御出版くださいました。
 最後に、自分の学校のホームページに「いちょうだより」というところがあります。ほぼ毎日更新していますので、もし、機会がありましたら御覧いただければと思っています。
 以上、若干延びてしまってすいませんでした。ありがとうございました。
【岩永座長】  ありがとうございました。
 今の大谷先生への御発表に対する御質問等は、先ほども申しましたけれども、後ほどまとめてお出しいただきたいと思います。
 続きまして、広島県教育委員会事務局学びの変革推進部 個別最適な学び担当の不登校支援センター、蓮浦顕達センター長より、「不登校等児童生徒への支援の充実に向けて」と題して御発表いただきたいと思います。
 特異な才能のある児童生徒の中には、授業で指導を受ける学習内容では充実感を得られないということや、あるいは学校生活に困難を生じているということもあり、場合によっては不登校になる児童生徒もいるということが分かっております。このことから、学校を場とした不登校児童生徒に対する支援とはどのようなものがあるかということについて、お話しいただきたいと思います。
 それでは、蓮浦先生、よろしくお願いいたします。
【蓮浦センター長】  失礼いたします。広島県教育委員会個別最適な学び担当不登校支援センターの蓮浦でございます。それでは、画面を共有させていただきます。
 本日は、本県の不登校等児童生徒の支援の充実に向けた取組について、主にスペシャルサポートルーム、SSRと呼んでございますけれども、スペシャルサポートルームの設置による支援に焦点を当ててお話をいたします。直接、特定分野に特異な才能のある児童生徒を対象とするものではございませんけれども、今回の論点整理に関わる議論に少しでもお役に立てればと考えております。よろしくお願いいたします。
 本題に入る前に、本県の取組の全体像についてお話をさせていただきます。不登校等児童生徒の支援に関わっては、県教育委員会の事務局の組織としては、令和3年4月に、個別最適な学び担当の中に不登校支援センターを新設し、不登校等児童生徒の支援を一元的に担っております。
 背景といたしましては、広島県において、ここ数年、不登校児童生徒が増加傾向にあり、支援の強化、充実を図っていく必要があるということはもちろんでございますけれども、組織上、不登校支援センターを個別最適な学び担当の中に設置した意味について少し触れさせていただこうと思います。
 本県では平成26年12月に、広島版『学びの変革』アクションプランを策定し、以降、全ての児童生徒の主体的な学びの実現を目指して取り組んでおります。一定程度の成果は上がってきたものの、まだまだ全ての児童生徒が主体的に学ぶというところまでは至っておりませんし、そういった児童生徒を見てみると、自己肯定感が低かったり、学ぶ楽しさやできる喜びを感じた経験が少なかったりという状況が明らかになってまいりました。
 これまでの一斉指導を前提としたカリキュラムだけではなく、子供の実態に応じた多様な選択肢と自己決定を意識した教育活動を進めていくこと、個別最適な学びの推進が必要ではないかと考え、令和元年度からは、個別最適な学び担当を設置しております。
 その個別最適な学び担当の中に、不登校支援センターを新設したということ、つまり、不登校等児童生徒への支援についても、子供の実態に応じた多様な選択肢と自己決定を意識した教育活動の推進の一つとして取り組んでいると捉えていただけたらと思います。
 こういった位置づけで、不登校支援センターでは、現在、不登校の未然防止と不登校等児童生徒の社会的自立に向けた支援の強化・充実、この2つを大きな柱として、主に5つの取組を進めており、SSRの設置による取組はその中の一つでございます。
 では、このSSRの取組に至った経緯についてお話をいたします。SSRの取組自体は、令和元年度から始めております。不登校児童生徒が増加傾向にある中、学校においては、独自の取組として空き教室を利用するなど、校内に別室を設けた支援を進めている学校もございました。
 しかしながら、人員が足りない中、時間ごと、授業が入っていない教員が持ち回りで支援をせざるを得ない状況、あるいは行ってみたいと思えるような教室の環境整備も十分できていなかったりという状況が見られました。
 こういった状況の中、不登校の児童生徒が継続的に利用できる居場所を環境面、人材面から整備、支援することによって、児童生徒が学校をはじめとする社会とのつながりを持つことができ、社会的自立に向けた支援を充実させていくことができるのではないかと考え、県内5市町、11校を指定し、環境整備に向けた予算として、1校当たり40万円を措置、そして担当教員を各校1名加配して取組を始めております。
 取組当初は、こういった居場所をつくると、たまり場になるのではないかとか、逃げているだけではないか、したいことをしているだけで大丈夫なのかという声もあったことも事実でございます。
 しかし、利用した児童生徒からは、資料にございますように、少人数で安心できる場所があると学校に来ることができる。SSRがあったので、教室でしんどくなったときも家に帰らず、SSRに行くという選択肢が増えたことがよかったといった声、さらには、保護者や担当教員からも、肯定的な声を聞くことができたという成果が感じられたことから、令和3年度からは、指定校を12の市町、21校に拡充して取り組むことといたしました。
 なお、昨年10月に公表されました、不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果では、指定校11校中9校で、不登校児童生徒数が前年度以下、現状維持か減少ということになりますけれども、そういった結果も出ています。以上のような経緯で、取組を進め、現在に至っております。
 現在の指定校21校に関しては、環境整備に係る県からの予算措置は残念ながらなくなってはいるのですけれども、担当教員については引き続き加配措置をしております。また、不登校支援センターの職員のうち、8名の指導主事が担当校を決めて、週1回、学校の始業終業に合わせて終日訪問して、SSRの運営等をサポートしているところでございます。利用状況につきましては、昨年9月末で、183名の児童生徒がSSRを利用しております。
 次に、取組内容について詳しくお話をいたします。
 まず、広島県が考えているSSRとはどんな場所なのかという捉えを、5点に整理してお話をいたします。
 1つ目は、通常の教室への復帰を前提とはしていない場所ということでございます。誤解のないように申し添えますが、教室復帰を目指さないということではございません。児童生徒の将来の社会的自立を見据えて、個々の状況によって、教室復帰を経て社会的自立につながっていく子供もいれば、教室を経ずに、経ないほうが社会的自立につながる場合もあると考えておりまして、必ずしも全員が教室復帰を目指すわけではないということから、前提とはしていないという示し方をしております。
 2つ目として、児童生徒が安心、安全に過ごせる居場所であるとともに、成長できる場としていくことを大切にしております。どうしても居場所ということが前面に出がちではあるのですが、居場所ということに加えて、成長できる場としていくことを大切にしていきたいと考えております。
 では、どう成長していくことを目指しているのかということが、3点目の丸にあります相談する力、自分の強みを知り、生かす力・苦手な場面でSOSを出せる力の成長を目指すということでございます。この2つの力を育てていくことが、将来、社会で生きていく力になると考えているからでございます。
 また、時間割は、一度決めたとしても状況によって変更していけるということ。
 伴走者として担当者が決まっている、いつSSRを訪れても、誰か迎えてくれる人がいるということ、この5点を大切にして取り組んでおります。
 SSRをこういった場所として捉え、児童生徒を支援していくため、各指定校では、大きく2つの柱で取組を進めており、市や町の教育委員会、県教育委員会がそれをサポートしていくという立場に立っております。
 それでは、取組内容の2つの柱について、少し詳しくお話しいたします。
 まず、SSRの運営に関わって環境整備についてです。主に、居場所としていくための取組と言えるかと思います。ポイントは3点です。実際の教室の様子を見ていただきながら、ポイントについてお話をいたします。
 1つ目はスライド上部の写真にありますように、ソファーを置いたり、机にテーブルクロスをかけたり、カラフルな色を使った椅子を使うなど、学校らしく見えない教室を目指しています。
 不登校に至る子供たちの中には、学校や教室に対してネガティブなイメージ、例えば学校の正門を見ると足が止まってしまうなど、そういった思いを持つ子供も少なくありません。学校らしく見えない環境を整備し、通いやすい環境づくり、言わば自宅のリビングルームのような場所となるように心がけております。
 また、どうしても他の児童生徒の視線が気になる子供も多いです。スライドの右側の写真にありますように、みんなと同じ玄関を通ることなく、外階段から直接SSRに入れる場所を校舎の中で選定していただいたり、SSR用の靴箱を準備するなど、周りの視線を気にすることなく、入室できるよう工夫をしております。
 さらに、スライド下部の写真にありますように、SSR内では、個別の学習や協働での学習を子供たちが自分で選んで取り組めるよう、レイアウトを工夫しております。こういった環境整備に関わっては、市や町の教育委員会で予算を組んでいただいたり、学校にあるものを活用するといった工夫をしながら、取り組んでいただいております。
 運営に関わって2点目、個別のサポート計画の作成でございます。この2点目は、主に成長する場としての取組と捉えられるかと思います。こちらもポイントは3点です。
 アセスメントにつきましてはなかなか難しいですが、適切なアセスメントということで、状況の把握にとどまるのではなく、その状況に至っている要因をしっかり探っていくということを意識して取り組んでいます。また、アセスメントの一つの手法として、あくまでも手法の一つですが、佐賀県のNPO法人、スチューデント・サポート・フェイスさんが使われているFDP判定指標を活用させていただいております。この判定指標は、対人関係やメンタルヘルスといった各判定指標について、5つのレベルで見取っていくというものでございます。
 SSRを利用している児童生徒の実際の様子を基に、例えば、学級担任の先生とSSR担当の先生という複数で、実施例にあるような流れで見取っていただいております。ただ、判定するということになると、どうしても判定することが目的化していきがちではありますけれども、ここで大切にしたいのは、児童生徒の具体の姿を基に校内でしっかり対話をしていただくということでございます。
 判定した結果については、SSR利用の開始時、そして、一定期間SSRに取り組んだ後、例えば年度末にスライドにあるようなアセスメントシートにまとめ、どんな変容が見られたのかを見取っていくこととしています。
 次に、こういったアセスメントを踏まえて長期目標、そして、そこに至るための短期目標を設定し、個別サポート計画に落とし込んで取組を進めております。この目標もSSRで成長させていくべき2つの力につなげていくことを考えて設定しております。さらに、この設定した目標については、学校のみで決定するのではなく、子供たち、児童生徒や保護者と共通理解を図っていくということが必要だと考えています。
 次に、具体的なSSRにおける学習支援に当たってのポイントでございます。これについても、3つのポイントを挙げております。
 1つ目として、児童生徒の興味・関心を生かした学び、生かした活動にしていきましょうということ。
 それから2つ目として、各学習活動において、児童生徒が相互に学び合う場を設定していくということを意識しております。いずれも相談する力、自分のよさや苦手を知り、それを生かしたり、SOSを出したりする力につながっていくものであると考えています。具体的には、本日の資料に掲載しておりますような各学校における取組に加えて、県といたしましては、今年度からこういったSSR推進校等をオンラインで結んだ取組を始めております。それが、オンラインの学びプログラムやクラブ活動の実施でございます。7月から始めました。まずは参加しやすいプログラムから始めて、徐々に様々な機関、企業とコラボしたプログラムを実施してきております。これは自由参加であって、全員が参加しなければならないものではございません。
 9月には、県の歴史民俗資料館と連携し、「イノリノカタチ」というプログラムを実施しました。3回シリーズで、祈りというのはどういうことかということを考えながら、自分なりの祈りの形を形どった勾玉を作成するというものでございます。このプログラムは当初3回のみで終了する予定でしたが、歴史民俗資料館の館長さんとも連携し、児童生徒が製作した勾玉を実際の資料館に展示していただくというところまで発展していきました。参加した児童生徒の中には、展示された資料館まで家族とともに実際に行ってみたという子供もいたと聞いております。
 子供たちが家庭や学校だけではなく、より広く社会に目を向けるきっかけになる取組になったかと考えています。
 クラブ活動のほうは、まずはイラスト、生き物という2つのクラブから始め、その後だんだんと様々なクラブ活動を企画する企画部、そして写真部などの活動まで広がってきております。例えば10月、11月の「生き物クラブ」では、爬虫類の蛇やトカゲをテーマに、講師の方に自宅から蛇を体に巻きつきながら登場してもらうなどしながら話をしていただきました。
 爬虫類が好きというと、通常の学級でそういった話をすると、ともすれば嫌がられかねないかと思います。そうなれば、どうしても自分は変なやつなのではないかとか、自己肯定感が下がってしまいがちになるかと思います。しかし、学校のクラスの中で爬虫類好きはいないかもしれないけれども、県内のSSRを結んで見れば、同じように好きな小学生、中学生がいる。もっと言えばそれが好きな大人までいる、こういったことが爬虫類が好きなことって変じゃない、好きは好きで生きていっていい、そういう大人もいるじゃないかという思いにつながってほしいと考えています。
 講師の先生は、ほぼボランティアでお願いをしているところですが、12月のイラストクラブ「カラフルドットアート」をつくろうでは、SSRの生徒に講師を務めてもらいました。この生徒は、講師を務めたことで自信がつき、はっきりと自分を表現するようになったり、学習にも積極的に取り組むようになったりするなどの成長が見られたと聞いております。
 学びのプログラムのコラボは、株式会社のカルビーさんや江田島ラボなど、民間企業等にもお願いをしながら、継続して開催しているところでございますが、先日、2月5日には、これまでの活動の集大成的な意味も含めて、「オンラインでつながろうフェス2」を開催いたしました。これまでのクラブ活動で実施してきたイラスト、生き物やクイズのブースを設けて、子供たちが自分で選択して参加したり、また、広島県出身の俳優、ゆうたろうさんへのインタビュー動画を視聴したりいたしました。
 インタビューは、SSRに通う生徒が行いました。好きなことを仕事にすることの楽しさや、反面その大変さ、人とのつながりの大切さについて、ゆうたろうさんが御自身の経験を基に語っていただきました。
 学びプログラムのコラボ企画は、今県を越えて、熊本市さんや東京の国立近代美術館へもつながりを広げているところです。熊本市さんにおいても、不登校等児童生徒への支援として、ICTを活用した取組を始められているところでございますが、広島県から視察に伺った縁で、オンライン修学旅行の企画が実現しております。先週は広島の宮島から、そしてちょうど今日午前中に、熊本城からのライブ配信によって、熊本市と広島県の子供たちがともにオンライン上ですが、修学旅行を楽しみました。
 空間、距離を超えてつながることができるというのは、オンラインのよさだと感じているところでございます。少しオンラインの取組説明が長くなってしまいましたが、本論に戻ります。
 学習支援のポイントの3点目として、SSRの学習活動、また、オンラインでの学習もともに、振り返りと教職員からの声かけは、大切にしていきたいことでございます。その際、個々の児童生徒は、どんな長期目標、短期目標に向かって取り組もうとしているのかを踏まえたものにしていくということが大切であると考えているところです。
 また、これはSSR推進校全てで実施しているわけではございませんが、推進校の中には、高校に進学したSSRの先輩に話を聞く会を開催している学校もございます。進学への不安感を少しでも払拭していくということもありますし、自分を見つめ直す機会として大切な取組であると考えております。その際、単発の会で終わらせず、準備、事後の取組を一連のストーリーとして描いていくことが重要であると考えています。
 大きな取組の2点目、組織的な学校体制の構築についてでございます。
 推進校においては、週1回、例としてお示ししているような構成メンバーで、不登校等の児童生徒支援会議を開催し、取組方針の共有や具体的な取組内容などを協議をしております。週1回、確実に開催できるよう時間割に組み込んでいただいております。
 2の校内研修と3の周知についてと併せてお話をいたします。
 SSR担当教員以外の教職員も校内研修等を通して、しっかりとSSRの取組の意義等の理解を図ることはもちろんのこと、支援の考え方や支援方法等について、通常の教室への指導に生かしていただくことで、学級経営や授業を改善していくことが大切であると考えております。
 こういった視点からの研修も、本県の義務教育指導課とも連携しながら実施しており、これは、不登校の未然防止につながっていくと考えております。全校の児童生徒や保護者への説明については、主には、学校からのおたよりやホームページで周知を図っているほか、県としても広報誌を通じて紹介したり、新聞やテレビなどの取材を通して、発信をしています。
 ただ、周知発信は、単にSSRの取組を伝えるにとどまらず、誰もが利用しやすい場所としていく視点からの発信が必要であると考えており、多様性の理解と連動していくということが大切です。
 この多様性の理解という観点から、不登校支援センターにおいては、今年度、年間3回、保護者、教職員等を対象とした研修を実施しております。
 特徴としては、当事者からのメッセージ、例えばスライドでお示ししている第2回では、SSRや特別支援学級、フリースクール等で学び、社会人になった今思うことというのをインタビュー形式で語っていただき、その内容を基に意見交流をしたり、協議したりする内容を盛り込んでいるところでございます。
 以上、今回はSSRの取組に焦点を当ててお話をさせていただきましたが、5つの取組を連動させながら、取組を進めているところでございます。来年度に向けましては、現時点ではなかなかお話しさせていただくことが難しいのですが、SSRについては、継続して取り組んでいきたいと考えておりますし、これまでのSSRの取組や本日御紹介したオンラインプログラムの実施等の成果等を踏まえて、県の教育支援センターの機能強化を図って、とりわけ学校等とつながりが十分持てていない児童生徒に対し、対面、リアルの場と、オンラインの両面から社会とつながる場を整備し、学びをサポートしていくという取組を現在検討しているところでございます。
 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
【岩永座長】  どうもありがとうございました。それでは、これから会議終了までの時間を質疑応答及び意見交換の時間としたいと思います。
 今御説明、御発表のありました大谷校長先生、蓮浦センター長への御質問あればまずお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
 今回Zoomの形式に変わりましたので、もう先生方は全部御習熟のことと思いますけれども、画面下のリアクションの中から手を挙げるを押して、御質問、御発表ください。
 それから、御発表が終わりましたら恐縮ですけれども、手を下ろすというところももう一度リアクションの中から押していただければと思います。よろしくお願いしします。
 それでは、松村先生、お願いします。
【松村委員】  ありがとうございました。蓮浦先生にも御質問あるんですが、ちょっと後に改めてさせていただいて、まず、大谷先生のお話についてコメントしたいと思います。
 有識者会議に大事な示唆をくださったので、話をメモにまとめてきました。5分かかります。すいません。
 まず、1点目、才能のある子への指導支援は、個別最適な学び、協働的な学びに包摂されるということを天童中部小学校の取組は、具体的モデルで示しておられるという点です。全ての児童が、大谷先生のおっしゃる「主体性に配慮した学び」を行うことで、才能のある子への指導・支援も、別枠のプログラムではなくてインクルーシブに行われています。
 アメリカの才能教育では、多様なプログラムがありますが、学級での「拡充」が大きなベースになります。天童中部小学校の取組は、「SEM(全校拡充モデル)」のように学校全体で取り組む拡充モデルと理念、方法の共通点があります。
 例えば、フリースタイルプロジェクトで、成果発表は「タイプⅢの拡充」に当たりますが、ほかの子には新しいテーマの導入の「タイプⅠの拡充」につながります。その中で、特定領域にまさに特異な才能も包摂して、大谷先生によれば、その子らしさが浮き上がってくる。これは、SEMについてレンズーリの言う、「上げ潮でどの船も浮き上がる」という理念と響き合います。
 2点目、才能の見いだしは、子供自身が行えることを示している点です。
 主体性に配慮した学びでは、子供は自分で興味や能力、スタイルに合う学びの内容、方法を主体的に見いだします。大谷先生の表現では、自分でも気づいていなかった自分に出会うということです。すると才能の見いだしとして、あらかじめ才能特性をスクリーニングで識別する必要はありません。これは才能特性の識別を個別のプログラム等の目的のためにどうやってやるかというのは、また別の話です。才能を識別して、だからこの子はこれができるはずだ、このやり方があるはずだ、こういうふうにやれと教師が指示するのではなくて、子供が主体的に学ぶ力、大人になっても生きる力を養います。
 3点目、学習困難や障害のある子も共通に、主体性に配慮した学びでうまく学べることを示しています。主体性への配慮が、特別支援学級の児童にも共通して有効であることから、才能と障害を併せ持つ子供への支援の新しい手がかりが示唆されます。つまり、「特異な才能のある児童生徒」をあらかじめラベルづけないことから、必然的に2Eの児童をあらかじめ特定する必要がありません。有識者会議でも今後の議論になるはずですが、特別支援教育で2Eについて文科省の今後の検討を待たなくても、才能と障害を併せ持つ子供もインクルーシブに才能に応じた指導・支援ができます。
 ただし、誤解されてはいけませんけれども、主体性への配慮と同時に障害特性に応じた合理的配慮などが必要になる場合もあります。
  4点目です。才能のある子への指導、支援を包摂する個別最適な学び、協働的な学びの早期充実が求められる点です。そういう理念の学びの充実として、天童中部小学校のような「個性化教育」の流れをくむ実践でも、別の「授業のユニバーサルデザイン」の実践でも、教育課程の在り方の見直しを数年以上待たなくても、どの学校でも開始できます。
 ですから、既に多様な実践を進めている学校を研究開発校などに指定して、文科省が予算をつけて支援事業を行っていただきたい。そうすれば、教師の負担増にならないような様々な新しい取組方法を開発して、実践モデルをウェブ等で研修用に情報発信できる、そして、新規に取り組む学校にも文科省が少しずつ予算をつけて、教育委員会の応援があれば、全国で取組が広がるだろうと、こういうふうに考えて、急遽ちょっと5分でまとめました。
 以上です。
【岩永座長】  ありがとうございました。もう一方伺ってから、その前に、大谷先生のほうから何か、今の御質問というか、御意見に対してコメントありますでしょうか。
【大谷校長】  いや、過分な評価をしていただいているなと思いました。我々は毎日普通に授業をしているだけのことですので。今お話をお聞きして、なるほどそういうふうに価値づけていただき、また、意味づけていただけるんだなと、大変ありがたく思ったところです。
【岩永座長】  ありがとうございました。
 続きまして、根津先生から手が挙がっております。お願いします。
【根津委員】  早稲田大学の根津です。ちょっと画面の共有をさせていただいてよろしいでしょうか、共有できるみたいですので。ちょっとメモを作ったので、こちらを共有しながらお話をしたほうがいいかなと。
【岩永座長】  お願いします。
【根津委員】  最初に中教審の御意見についてです。資料2に対して少しコメントさせていただきたいのですが。どうも特別なお子さんを特別扱いにするような特別な制度をつくるという前提が、全部のご意見ではないんですけれども、ちょっとそれが強過ぎないかなという印象を素朴に持ちました。
 続いて、2件の御発表を大変興味深く拝聴いたしました。ありがとうございました。
 まず、天童中部小さんのほうなんですけども、初めのほうで繰り返し見直すと言われたあの3枚のスライドに書いてある内容は、フリースクールの元と言われるニイル、A.S.、この方のサマーヒルの実践を思い出した次第です。
 事実確認として幾つかあるのですけれども、4つほど書いておきました。まず一つは、そちらでの通塾率です。これをどういうふうに把握されているか。関連して、これは小学校の実践なわけですけれども、中学受験者の比率がどういうものか。実際、見ていく上では非常に重要な鍵になるかなと思います。
 次に、MP学習の教科というものが割と限られているなという印象を持ったんですけれども、他教科の展開、例えば音楽や体育などではどうなっているのか。
 次に、特別支援学級以外で異年齢、異学年の学習単元や学習活動というものはどういうふうに組織されるのだろうか。なければない、となるんだと思うんですけれども。
 最後に、参考にした他校の先行実践はどういうものがあるんでしょうか、をお尋ねしてみたかったところです。
 続きまして、広島県教委さんの御発表です。SSR、私なりの理解ですけれども、校内のサードプレイス、第3の場といいますか。かつてでもないですが、保健室登校のようなケースとも、さらにまたちょっと違ったバージョンなわけです。学級でもない、家庭でもないという場をつくろう、学校の中につくろうという場かな、と私は理解をしました。
 ただ、最初のほうのデータを示していただいたところで、小学校の不登校件数が、調査期間で倍以上に増えているんです。700件レベルのものが1,600件ぐらいまで増えていると中学校や高等学校にはない増え方だと思いますので、こちらの原因の分析というものをどういうふうに県教委さんではされているのかなと思います。その原因を解消するのに、このSSRが有効であるかどうかというところは、吟味してみる必要があるわけですので。関連してですけれども、データからしますとこのSSR、スペシャルサポートルームですか、こちらの主体は中学校さんが割と多いのかなとデータからお見受けしたんですけれども、むしろ小学校の対応が鍵ではないかなと感じました。
 ここからは意見といいますか、雑感ですけれども、小学校ではクラブ活動の実時数というものが示されなくなって久しいです。かつては実時数が示されていたわけです。こうして拝見させていただきますと、異年齢活動や異年齢学習としてクラブ活動の意義は非常に大きいなと思いますので、改めてそういう意味から活性化できるかもしれないと感じました。
 これは2つの御発表に共通するところで、最後3つほどありますが、小学校の場合は異年齢や異学年というところで、二、三学年違うだけでもかなりの違った環境が生み出せると思いますので、それで解決できるケースもありそうです。中学校や高等学校の場合にはそれぞれ3学年しかありませんので、学年の幅が狭いと。ただし、これが6年通した中高一貫校ならば、大分事情が変わってくるだろうと。
 その範囲を超える異才となると、もう中学校を飛び越して、高校も飛び越して大学あるいは専門家のということになると、これはまた話は別だろうと感じました。
 以上です。
【岩永座長】  ありがとうございました。この件、まず大谷先生のほうから、何かコメントがありますでしょうか。
【大谷校長】  ありがとうございました。3枚のスライドの価値というのを教えていただいてありがとうございました。改めて学び直したいと思います。
 御質問いただいた件についてお答えをさせていただきますが、これは真っすぐ答えちゃっていいのかどうかあれなんですが。
【根津委員】  御無理のない範囲で結構ですので。
【大谷校長】  天童市ですので、山形市が一応県庁所在地なわけですね。その隣の市ですので、そんなに通塾率は高くないと申し上げて、このくらいで、ほぼそんなにないので、ここには。ですから、通信教育のようなことをしている子はいますけども、本当に塾に行っている子というのはそんなに多くはないです。
 それで山形県全体というか内陸で、私立高校に行くということは、ここではほぼないです。
【根津委員】  私立中学ですね。
【大谷校長】  私立中学に行くということはないので、そもそも。それから、県立中学と附属中学に行くのは、ちょっとあまり数字言いにくいんですが、本校では毎年10人以下です。受験者数は10人以下です。
 それから、マイプラン学習を本校で本格的に始めて2年目ですね。それで先ほど申し上げた4教科なんですが、ほかの教科については、広げていくことは可能だと我々は思っています。ただ、音楽とか図工というのは、最初からいろんなものを含んでいるので、そこと合わせるというのは意外と難しいのかなと思っておりますが、これからチャレンジしていこうとは思っています。
異学年交流については、フリースタイルプロジェクトは、原則的に4年生から6年生が全て同じ活動をします。自分の学級にいるわけではないので、3学年、もう本当に自分の場所で自分のことをしてくるという形になります。
 参考にした学校は、やはり愛知県の緒川小学校さんです、一度だけ、私はもう本当に若い頃に、成田校長先生の頃にお伺いしたことがあります。短時間だったので充分な研修ではなかったのですが、その後、資料や本等で、緒川小学校の勉強はさせていただきました。
 研究者の方にもいろいろとお話をお聞きしながら、参考にさせていただきました。ただ、格好つけるわけじゃないんですが、何かをまねしないということを本校の実は先生方と話をしました。やっぱり自分の目の前の子供や自分の地域に合うものをそれから我々教員の働き方改革というのもありますので、やり過ぎると続かないので、子供たちと相談をしながらバランスを取りながら進むという方向でいます。
 以上です。
【岩永座長】  ありがとうございました。それでは、後半は、蓮浦センター長への御質問だったと思いますので、蓮浦センター長、お願いできますか。
【蓮浦センター長】  ありがとうございます。校内にSSRを設置する、学校内にあるというところが一つポイントかと思っています。
 もちろん、先ほどお話しした主な取組の中に、フリースクール等の民間団体との連携体制の構築というところも入れさせていただきました。市や町の教育支援センターやフリースクール等、それから学校の通常の教室、それからSSR、様々なそれぞれの子供たちに合った学びの場、どういった場がその子その子にとって一番、社会的自立に向けていい場所なのかというところが、選択してそこを選んで、そこで学んでいけるように、いろんな選択肢を準備するという中で、校内にSSRを設置して、ただ校内にあることによって、やはり教員からのアプローチということが、学校の中にあるからこそできやすいということで、意義は大きいかなと思っています。
 それから、2点目の小学校が増えているという状況でございます。
 5年前、平成28年頃から比べると約2.3倍だったと思いますけれども、2倍近く増えているというのは、おっしゃるとおりだと思っています。
 この要因は何なのかというところが、しっかり分析していければいいんですけれども、なかなかやはり一人一人の状況によって違う、様々な要因が複雑に絡み合っているということで、これだというところがなかなか分析し切れていないというところも事実でございますけれども、やはり一人一人の子供たちの状況を丁寧に、先ほどのSSRでやっているアセスメントにつながるんですけれども、丁寧に見取って、その子に合ったアプローチって何なのかというところをしっかり考えていきたいなと思っております。
 ただ、やはりポイントというか、これからちょっとまだ十分にできていないところもあるんですけれども、やっぱり未然防止の観点というところが、小学校段階で重要になってくるかなと思っています。
 そのためには、通常の教室における授業づくりをどう改善していくのか。本県では、個別最適な学びの推進ということで、本県で言う個別最適な学びの推進というのは、協働的な学びというのも含んだ考え方で推進しておりますけれども、そういった視点での授業改善、学級経営の改善というところが、小学校への取組のポイントになるかなと考えているところでございます。
 以上です。
【岩永座長】  ありがとうございました。どうしても不登校の問題になりますと不登校をセンターに据えて、それをメインテーマにして議論が進みそうなんですけども、あくまでも今回は才能を有する子供たちの視点ということで、そこから見た不登校ということで、大変恐縮ですけれども、議論は絞らせていただきたいなと思っています。
 それから、根津先生の一番初めの疑問というのは実は私も感じておりますので、それについての考えを多分これは今日御発表の大谷先生、それから、蓮浦センター長に対する疑問ではなくて、この有識者会議自体に対する疑問だと思いますので、さらに言えば、中教審に対する疑問だと思いますので、特別扱いする、特別な制度をつくるという前提が強過ぎるのではないかという、まさにそういうことは言えてると思うんです。
 そういうことでこの有識者会議は出発したんですけれども、やはりいろんな議論を続けていたり、ヒアリングを続けたりしているうちに、これを大前提にしてこれから発展させないという議論にはできないなということを私も感じておりまして、まさにその点では根津先生のおっしゃるとおりで、ちょっとこれを文科省の皆さんの前で言うと殴られそうですけども、こういう大前提ではなくて、もうちょっと自由な議論になってきているんではないかなと思いますので、現状としては、あまりこの前提にこだわっていないという気持ちで私はおります。そういうような認識でおります。すいませんでした。ちょっと余計なこと言いました。
 それでは、根津先生ありがとうございました。
 次に、お手が挙がっておりますのは秋田先生です。秋田委員、お願いします。
【秋田座長代理】  ありがとうございます。学習院大学の秋田喜代美です。
 大変お二方とも興味深い、わくわくするような御発表を聞かせていただきありがとうございます。
お二人とも教材と方法というところに焦点を当てて、私は伺いたいと思っております。、 まず、大谷校長先生のほうに、校長先生が立てられた主体性ということが、子供の学びを将来だけではなくて今日も含めて幸せにという言葉を本当に心に響く内容だと思いました。私はそういうビジョンの下だからこそ、どの子にも公正な学びということが可能性を引き出すものとしてあるんだなということを感じさせていただきました。
 それで、MPの内容であったりに手引きというものを作られたとありました。個性化教育では緒川小が日本の伝統的な学校の一つであり、そこでもそういう学びの手引きを作られているわけですけれども、独自のものとしてどういうふうに手引きを開発されているのかをうかがいたいです。また、その手引きを見ますとそこで扱われている教材内容は、多分、教科書内容よりもより生活の文脈に位置づいたような形になっているようには思ったんですけれども、MPの教材とそれからそれが2割、FSPとMPで2割分、残りが8割です。MPをやることで通常の授業も変わったと言われたので、その教材とか教育方法のほうにどういう影響がこれを行うことであったのかということを教えてください。意欲の面で変わったんですというお話はあったんですけれども、意欲の面で変わるというところは恐らく教師の意識が、そのやり方と同時に少しいろんな子にとって刺激的な教材開発が行われたり、内容が従来とどう変わってきているのかというところを伺いたいと思いました。
 先ほど、ユーチューブとか、それからそのスクラッチの話とかいろいろな外の世界とつないだICTの活用等もあったと思うんですけれど、基本の原則と言うんでしょうか、そうした教材内容の開発で何か意識されていることがあれば、ぜひ伺ってみたいなと思ったところです。
 2点目として、広島の蓮浦先生のお話も大変いろいろな意味で刺激的でございました。今回は、この委員会のトピックというところで伺いたいのは、そのSSRに来ている子供たちに個別計画を立てるわけですけれども、そこで扱う教材とか内容はほかの子が扱っている、要するに教科書とか教材とか内容をそこの部屋でするということなのか、あるいはその子供がかなり選択をして、よりある意味で発展とか文脈とか、先ほどの外でつながるオンラインの学習とかクラブがあるというお話は伺ったんですが、ほかの学習の保障ですね。安心できると同時に成長を支援する、成長を支援するためには必ず教材という新たな学びの世界を子供たちにどう広げるかということが多分教育の可能性として必要です。単純に受け入れるとかケアするだけではなくて、学習において教材や学習材がその鍵になると思うので、その辺りをどういうふうに加配の先生とか、週1回来られる指導主事の方が意識されて内容や方法の開発をされているのかというところが伺いたいです。恐らく今後この委員会でもいろいろ議論する上で役に立つのではないかと個人的に思いましたので、お二方から、それぞれお話を伺えればと思います。
 
 以上になります。
【岩永座長】  ありがとうございました。それでは、順序が前後ということでしたので、まず大谷先生のほうから、今の秋田委員の御質問に対して、お答え、コメントがありましたらよろしくお願いします。
【大谷校長】  お話をいただきまして、ありがとうございました。
 お答えになるかどうかですが、本校は1学年3クラスから4クラスあるんです。マイプランの場合は、一緒に教材研究をするというのが非常に大きいわけです。若手とベテランと中堅など、とにかく4人集まりますね。一人の担任が考えられる授業というのは、スーパースターがいれば別ですけども、そうじゃない限り、失礼な言い方するとたかが知れている。それがやっぱり三、四人集まると、今こういうことも面白いよねとか、でもこの算数だとこういうことがやられてきたよみたいなことがずっと話し合われていくんです。
 校長としてはマイプランは先生方の相談をしている姿というのが非常にありがたい。この期間の前になると1か月ぐらいかけて教材開発をしていくわけです。そこの中身は、秋田委員さんがおっしゃったように、教科の本質にだんだん入っていきます。最初は見た目の面白さというのもありますけども、最終的には教科の本質、その教科を学ぶ理由になる。マイプラン学習で子供たちは活動していくんですが、我々はその中で、その教科の本質にどうやって触れさせるか、触れさせるという言い方は失礼ですね、子供が触れるようにしていくかということを考えていきます。
 ですから、マイプラン学習を極めれば極めるほど、教科の本質に向かっていくとなります。真正な、いわゆるオーセンティックなところを通っていくわけです。一見、子供たちは活動しているんだけども、内容へ入っていく。この教材研究がみそです。子供たちは最初から学びたいんですよ、何回も申し上げますが。ふだんの授業がはっきり言えばつまらないんです。子供たちが学んでいくと、残りの8割の授業も我々は上げざるを得ないわけですよ。子供たち、もう学ぶ意欲満々ですから。今までのようなことをしていると「面白くない」と言われる。
 本当にでもそういうことを言えるようになった子供ってすごいなと、これは悪い意味で言っているわけじゃないですよ。僕たちももうそのぐらいはやれると子供たちに言われちゃうわけですよ。そういうふうにして2割で8割を上げていくということが、このマイプランのよさだなと思っています。
 それから、子供たちが分からないとはっきり言えるようになります。今日、朝の1時間目を見てきたら、先生が黒板の前に立って20人ぐらい集めて、そこでもう一回説明をしているんですよ。それ、どうしたのと言ったら、子供たちが分からないと言うから、じゃあ前に来てと、もう一回先生説明するからって。こういうマイプランやフリースタイルをすることによって、今までの授業のスタイル、先生が教えて質問して、指示して、はい、分かりましたかではなくて、分からないところは分からないと言っちゃう。どうやって説明してほしいのかとか、説明できる子供はいないのかとか、本当にレベルの高いところに向けて学び合える、自然に学び合えるという、今まで授業というものにあった枠を外して学び合えるというのが、このマイプランのよさじゃないかなと思っています。
 それと何回も繰り返しますが、先生方が仲がよくなる。協働して単元をつくるわけですので。コンピューターなんて不得意な先生もいるわけですけども、それは若い人がそこを発揮すればいいし、そういうお互いのよさを出しながら子供たちを育てていく。
 中学校で実はよくあったわけですよ。1回教材開発をすれば5学級一緒にやれるみたいな。ところが、小学校は自分でいくら教材開発しても授業は1回で終わりだったんですよ、今まで。ところが、マイプランを使うと、1つ教材を作るとその学年全員が一緒に学べる。それから、本学校では全部電子データで取ってありますので、次の学年でも使ってくださいと。そのままは使えませんけども、そこに足していくという本当の意味でのカリキュラム・マネジメントでも意味があるなと思っています。
 すいません、お答えにならないと思いますが、とにかく大切にしているのは教科の本質です。
 以上です。
【岩永座長】  ありがとうございました。それでは、蓮浦センター長、お願いできますか。
【蓮浦センター長】  ありがとうございます。SSRでそこに来ている子供たちがどんな学習をして、どんな内容の学習をして、どんな方法で取り組んでいるのかというのは、本当に一人一人様々です。ですから、SSRに来ているとは言っても、ずっとSSRにいる子もいれば、その時間によって、教科によっては通常の教室へ行って、自分で決定して、今日のこの時間割の中で、この教科は教室に行ってやろう、SSRでやろうと自分で決定して、時間割を組んでやっているということです。
 学習内容にしても、やっぱり一人一人の子供によって、今の学年の内容が合っている子もいれば、遡って復習というか、遡ってやっていかなきゃいけないという子も当然いますので、その子その子に合わせた形で取り組んでいくということにしております。
 ただ、やはりSSRの位置づけとして、もちろん、学習していくこととは切っても切り離せないんですけれども、相談する力を育てていきましょうということと、自分の強みを知り生かす力、苦手な場面でSOSを出せる力を育てていこう。この力を育てていくための、ちょっと言い方悪いかもしれないんですけど、学習というのはツールに、ツールだというふうな、どちらかといえばそういった位置づけで取り組んでいるということです。
 なかなかSSRに来れない子の状況を把握、家庭訪問等で把握したときに、プログラミングとかは家でゲームをしながら得意なんだということが分かれば、そのプログラミングをやってみようということで、学校に来てやってみないか。でも、学校に来ても先生が対応できるレベルではないときは、例えば大学の先生とつないで、大学院生に話をしてもらったりとかそういった場を持つので、まずはオンラインに入ってみないかということもありますし、学校に来てやってみないかという形で、社会的につながりをつくっていくという取組をしているということになろうかなと思います。
 以上です。
【岩永座長】  ありがとうございました。秋田先生、よろしいですか。
【秋田座長代理】  どうもありがとうございました。特定の時間や、特定の場を新たに設けるということが学校のイノベーションであったり、ある子供たちに合わせるための一つのダイナミズムを変える一つのきっかけになり、そこから逆に内容だとか学びの方法が変わることで、内容の吟味がなされたり変化が行われていくというプロセスが私自身、その順序性みたいなものも大変大事かなと思って聞かせていただきました。
 どうもありがとうございます。
【岩永座長】  ありがとうございました。それでは、次にお手が挙がって中島委員、お願いします。
【中島委員】  ありがとうございます。株式会社steAmの中島さち子と申します。本日、非常に面白く聞かせていただきました。めちゃめちゃわくわくしながら聞いておりました。今までの質疑応答のやり取りも含めて非常に興味深く伺っています。
 今、秋田先生からあったに教材、それから学び方、あと、ともにその環境、それから道具、人、コミュニティーみたいなところ、そういう観点がすごく含めて面白いんだなということを思っていました。本当にこれがどういうふうに拡張していくのか、日本全国とかあるいは世界に向けても非常に面白いモデルだと思うので、拡張していくのかなということをまさにここで皆さんで議論できればいいのかなと思いました。
 ちょっとまとまっているか分からないんですけど、各々と全体に対しても、少し質問などさせてください。
 まず、大谷先生のほうの取組、非常に面白いと思いました。やっぱり個の力を信じるということで一人一人のところです。あと先ほど教科の奥深さ、私も聞きながら恐らくそういうところに至るんだろうなと最初から思っていたんですけど、教科というか学問というか、結局ちょっとつれづれ話しちゃいますけど、大学のほうでも、小学校のところで例えば面積一つとっても、面積とは何ぞやとか考え始めると、物すごく深い取組があって、それはもう本当に最先端の学問とかにもつながってきたりするような話で、多分、大学教育自体が最短の効率よく学ぶという時代からだんだん議論しながら学ぶという、初年度ぐらいからやっぱりゼミ的にやるということに変わってくるんじゃないかなと私は勝手に思っているんですけれども、何かそういうところともつながるなと。あんまりもう本当に小中高大ということがだんだん融合してくるんだなということをちょっと感じておりました。
 そういう意味では、大学との連携などはもうどちらも皆さんされていると思うんですけれど、何かしらこうバーチャルでネットワークがよりつながっていって、もうちょっと可視化されているようないろんな興味とか可視化されているようなバーチャルネットワークみたいなものができてくると、もしかしたらあれほど個別にみんなが一人一人違う興味で、何かを進めるに当たって、もちろんインターネットでグーグルで検索したりもできるんですけど、その先に人がいて、つながりが合って、むしろ大学の例えば研究者であったり芸術家であったりしても、教えてあげるというよりは一緒になってつくるような、そういうような環境というのも出てくるのかなと思ったんで、その辺り何かお考えがあればと思いました。
 あとやっぱりモデル化していくことの意味合いもあると思っていて、マイプラン、MPとかフリースタイルとか非常に面白いなと思って、場合によってはモデル化して、最初は難しいかもしれないけど、どこかが同じようなことにトライをすると。それでそこを通じて、そのモデルというものを共通言語としながらちょっと連携して時々そっちはどうだとか、そこはオンラインでつながりながら、何か文化性の違いみたいなものを感じ合いながら、時には多分難しいこともあると思うんですけど、一つその先行事例でモデルがあるということでつながり合っていって、ほかの地域あえて県とか越えてみたり、あるいは市を越えてみたりということができないのかなというのを思いました。
 あとは非常に面白い取組がたくさんあるなと思ったので、やっぱりポートフォリオ的なもの、一人一人がどんなことをやってきたのかというのが、オンラインだとやっぱりそういう意味では残せて、環境にもあれだという意味では何かしらオンラインでも、そういうポートフォリオ的なものも考えられているのかどうかということがちょっと気になりました。見れたら、取組全てが見れてくると面白いなと、大人もすごく刺激になるなと思って伺っていました。
 すいません、全て長くなっていますが、それから、広島県の取組、こちらもすごく面白いと思って伺っておりました。環境の力というのがやっぱりあると思っておりまして、色とか感触とか五感に訴えるようなことというのは絶対あると。これは本当に不登校の子たちもそうですけれども、多分一般の普通の学校とか、それこそ職場とかも、もしかしたら官公庁もそうかもしれないですし、分からないですけれど、何かそういう環境の側面というものを考えられているのは非常に面白くて、これもぜひちょっと広げて、不登校のところという領域を超えてやっていただけると面白いのかなと。
 あとアセスメントの重要性についても、本当にそのとおりだと思うので、これもやはりこういうものができてくることで使ってみて、それを素地に、ただ、うちはもうちょっとこの観点を強調してみようとか、最終的にはもしかしたらどの関係を見るかも先生とかあるいは学び手が選んでいくとか、そういうこともできるかなと思ったんですけれども、教員とかプログラムに対するアセスメントというのも非常に大事になってくるかと思って、特に教員の方々が、先ほどからやっぱりみんな先生たちが元気になるというのをおっしゃっていて、結局、子供たちと同じことが先生方、大人にも起こっているんだと思うんですけど、逆にだから孤独になりやすかったりする先生方も多い中で、何かこういう教員の先生方にとっても自分をちょっと客観視できるものだったり、鼓舞されるようなものであったり、批判されるというよりは、そういうアセスメントというものが何か考えられないかなと思いました。
 併せて、やっぱり私は拡張にちょっと興味があるので、広島、熊本のオンライン修学旅行も面白いなと思ったんですけど、同じようにほかで地域との連携というのが何かできないのかなと。
 あとこれはつれづれに、アンダーリプレゼンティドという言葉が英語ではありますけれど、十分にまだ評価されていないという意味で、ジェンダーの課題や経済格差・地域格差の課題などもありますし、そういう不登校の子たちも多くの場合、やっぱり何かしら十分そういうものが発揮できずに、孤独感を抱えてということもあるかと思いますので、そういう視点すごく大切であると改めて思いました。
 併せて最後にあった研修です。教員研修の重要性、これは日本全国だと思うのでそういうことを感じながら聞いていました。
 長くなっていますけれども、最後にもう一つ、もうちょっとだけ、何とかして共有をしていただいて、拡張していただきたいと思うんですけど、そこのアイデアがあればぜひ。あと、どうしてもプログラミングとかも皆さん使われていると思うんですけど、プログラミングとか英語もそうですね、海外連携も含めて、やっぱりこういうものがまだお勉強になってしまっているところも多いんじゃないかと、皆さんは違うと思うんですけれど、ある意味で道具として、新しい言語でまさに、そこをやっぱり使って何をするかが面白いので、逆に言うとこういうものがあれされる中で、共通言語があると、先ほど共通のモデル、あるいは共通言語、例えばプログラミングならそれを使って何かするというより、例えばそれで文化を語るとか、あるいは英語もやっぱり道具としてやるとか、あるいは芸術、音楽とかダンスとか詩とか、そこに何かが組み合わせるとか何かそういうものを使って、ほか地域と連携する、何か第三者的な視点の何か道具があって、それを通じて何か連携するみたいなことはできないのか。これはもう最後、大したあれじゃないんですけど、子供たちのこういうものの発表の場なんですけど、今どうしてもプレゼンがみんなできるようになってきてすばらしいと思うんですけど、プレゼンもやっぱりどうしてもまだ一方的に話すという、子供たちがこう話すというスタイルなんですけど、よりインタラクティブな体験的なものを子供たちが生み出したりとか、フェスみたいなこととか何かそういうこともできないのかなということを最近ちょっと常々思っていたので、何かしら事例があれば教えてください。ちょっとたくさん言い過ぎましたので、答えられるものだけで構いませんので、教えていただければと思います。ありがとうございました。
【岩永座長】  ありがとうございました。中島委員らしい、もう無限に広がっていくんではないかという御質問でしたけれども、これも大谷先生から部分的でも結構ですので、お答えいただければと思います。よろしくお願いします。
【大谷校長】  よろしくお願いします。ありがとうございました。
 一つは子供たちがしている活動、我々が一番楽しい、とても見ていると楽しいし、子供ってすごいなと本当に思います。
 それで今日ちょっと発表できませんでしたが、実はFSPの場合は、教員も自分のテーマを設けて、20時間取り組んでいるんですよ。子供たちは、教員がやっているのを時々見に行きます。我々も環境の一つですので、先生方も一緒にやるというのはとても大切。子供たちが学んで我々が指導するというのを消したいので、申し訳ないけど、質問に来られても、僕、今これやってるから、自分で頑張ってねと、そういう関係ですね。みんなが学ぶ場所なんだということを今、やっとつくれるかなと思っています。
 ほかの学校との交流というのは、これもちょっと今いろいろと言いにくいんですが、コロナで止まっているんですよ。いろいろ公開したいんですけど、難しい。こっそり公開して、本当に興味がある方だけ来ていただいてやり取りをしていますので、だんだんますます広がっていくかなと。
 先ほども申し上げましたが、それぞれの学校がそれぞれの子供たち、それぞれの地域で似たようなことを広げていくということが大切なので、同じことをやったり、我々が使っているプリントを使えばうまくいくというわけではないと思うので、そこは今委員が御質問いただいたとおり、御指摘いただいたとおり、こういうのを使ったけどどうでしょうねという交流で広まっていくのはとてもありがたいなと思っています。
 それから大学等との連携というのは、まだ我々始まったばっかりですので、子供たちは一方通行で、こっちから聞くだけという形ですが、非常に詳しいですよ。北海道大学のこういう先生が化石の論文を書いているとか。小学生の子供たちも、まだ一方通行ですが、まず地元の学校、大学と交流をしようという動きがあります。
 それからポートフォリオ的なことについては、先ほど申し上げたように相談というのがすごく大切です。担任がお願いしたんです、子供たちに。さっき申したようにばらばらに活動しているので、1時間、何をしてきたか、私たちが分からないと。それで1時間の最後に、動画か写真を撮って送ってほしいとお願いしたんですよ。そうすると担任のロイロノートに全ての子供のデータが毎時間送られてくるので、たまっていってポートフォリオになる。もちろん子供のタブレットにも入っていますが、我々も全員分を持っていることになっています。
 子供と相談をするということがすごく大切です。最後におっしゃった発表会は、私への質問じゃありませんでしたが、このFSPも最後に発表会があるんです。子供たちが、「毎回毎回発表するだけで面白くない。やっぱりお尋ねの時間を設けてやり取りをしたい」と言うので、来年からそういうシステムになるそうです。
 以上です。すいません。
【岩永座長】  ありがとうございました。中島委員の質問の中にありましたモデル化というのも一つ面白い、いい観点だなと思いましたが、これは松村先生がちらっとおっしゃいました、どのような学校でもこのようにやればできるというモデルをつくって、これを広めていくことは可能だという御意見がありまして、強くおっしゃったのを今思い出しましたけども、やはり同じような観点かなと思いました。ありがとうございました。
 それでは、蓮浦センター長、お願いします。たくさんあったんですけど、お答えできる範囲でということでお願いします。
【蓮浦センター長】  ありがとうございました。やっぱり環境の重要性というのはひしひしと感じているところでございます。発表の中にリビングルームのようなとお話をさせていただきましたが、このリビングというのは、単に居間ということではなくって、生きていくための部屋という捉えを本県の平川教育長はよく口にします。
 やはりこういった環境づくりが、SSRだけではなくって通常の教室の中でも、予算の問題ももちろんあるんですけれども、少し工夫をしていくことだけでも変わっていくことができるのではないかなと思っています。こういった取組が、やっぱり通常の教室の中でも発想を転換して、広がっていったらいいなというふうには思っております。
 アセスメントについては非常に重要ですが、なかなか難しいというところが現状です。FDPアセスメント資料を使わせていただいているんですが、これも今年度やり始めたばかりで、まだまだ研究をしていかなきゃいけないかなと思っています。ただ、やはり状況の把握にとどまる場合が多いんで、例えば不登校、学校に来れないんですという場合に、昼夜逆転してしまって朝起きれないんです、そういった状況なんですというところでとどまってしまっている場合が多くて、昼夜逆転しているのは何でなんだろう、夜、ゲームをしてしまうのは何でなんだろうというところの要因を探っていく、非常に難しいと思うんですけれども、そこはやっぱり丁寧に探っていかなきゃいけないかなというふうには皆で考えながらやっているところでございます。
 オンライン修学旅行については、本当にやり始めたばっかりで、熊本市さんに視察にこちらから伺った縁でやってみませんかというところで、意気投合して始めていますけれども、私どもも今コロナの状況なのでなかなか他県にお伺いするというのは難しいんですけれども、他県から視察に来ていただくこともございますので、そういった場合とか私どもが行った場合には呼びかけて、広げていけたらなと思っています。
 今日ちょうど熊本市さんと2回目やったところですけれども、来年度もやっていきたいですねという話もしていましたし、まだまだ熊本市の子供たち、それから広島県の子供たち、オンライン上で参加はしていますけど、チャットなりでお互いが交流というところまではまだ2回ですので、できていないんですけれども、回を重ねるごとにそういった関係というところもできてくるかなと思っています。これは回を重ねるのが大切かなと思っています。
 プレゼンの発表というところなんですが、今回フェスをやらせていただいて、俳優のゆうたろうさんに出演していただいたんですけれども、これも単に講演という形ではなくって、インタビューをしようと、それもSSRの子供たちからやってみたい人、立候補を募ってやってみようというところは、一歩進めたかなと思っていますので、今、中島委員さんからの提案というか、それを来年のフェス3に生かしていけたらなと思います。ありがとうございました。
【岩永座長】  ありがとうございました。中島委員、よろしいですか。
【中島委員】  どうもありがとうございました。ぜひいろいろつながっていただければと思います。私たちも、何かいろいろよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【岩永座長】  ありがとうございました。それでは、あとお二方から手が挙がっておりますが、本田委員、お願いします。
【本田委員】  信州大学の本田と申します。私は、発達障害を専門にする精神科医なので、どうしても発達障害的な部分やインクルーシブ教育の部分や、あとはメンタルヘルスに関心があるんですけれども、今日本当にインプレッシブにお話伺いました。どちらも本当すばらしい発表だったと思います。
 まず、天童中部小学校のほうから少しコメントしたいんですけれども、私、この会議で冒頭のほうでもお話がありましたように、ちょっと特異な場に偏り過ぎているんじゃないかということが話題として出ていて、私はどちらかというと、そういうその特別な、特異な才能がある人たちを特異な場でやるということだけに集中してしまうと、むしろ偏見や差別の火種になってしまうのではないかということを危惧していて、むしろその土台としてインクルーシブな教育の中で、多様な個性が生きるような教育の文化というのができて、そこで初めて特異な才能を特別な場で育てる土壌ができるんじゃないかということを申し上げてきているんですが、そういった意味で、今日の天童中部小学校の取組というのはその土台をつくる上では必須のプロセスなんだと感じました。やはり多様な子供さんたちが同じ場で、それぞれに個性を発揮するような教育というのはもう欠かせないと思うんです。
 私、精神科医をやりながらいろんなお子さんを診ていて、こういう学校があったらいいだろうなと思っているようなイメージをとても具現化されているととても心強く感じましたし、ぜひ引き続き発展させていただければと思います。
 もう一方で、これは大谷先生のほうに文句を言うわけではなくて、日本の現状を憂うわけですけれども、なぜ、この学校ではできるのにほかの学校ではできないのかということもやっぱり懸念するわけです。要するに、現行の学習指導要領の枠組みの中でもできるのであれば、それをもはやモデル校なんて言わずにこういったことを本当にどんどんやってほしいなと本当は思っております。
 1点だけ、もし、そういうふうに具体化してモデル化して進めていく場合に、それを壁になるものって何なのかと考えたときに、恐らくそれはやっぱり先生方の負担だと思うんです。先生方がとても楽しんでやってらして、私はむしろこれは負担が減るんじゃないかとすら思うんですけれども、そうは言ってもやっぱり全国にいろんな先生方おられます。
 その中で、例えば今8割と2割という分け方をされていますけど、これはイメージなのか、それとも、2割ぐらいの割合で本当に時間をそのぐらいにするのが一番効率がいいのか。その辺のお考えどうなのかというのをお聞きしたいのと、あと実際に先生方がこれをやることによって、どのぐらい心理的もしくは物理的な負担が増えるのか減るのか、その辺りの感触で構わないんですけど、教えていただければなと思います。これが大谷先生への御質問です。
 そして蓮浦先生のほうにはコメントと御質問なんですけども、そういう土台ができると、初めて幾ら土台を広げてユニバーサルデザイン化してインクルーシブにとやっても、やはりはみ出る人が出るわけです。いろんな理由ではみ出るわけです。その場合に、やはりはみ出ざるを得ない人たちに対する備えというのも必要で、今日の御発表というのはそういった意味では大事な備えの一つだと伺いました。
 やはり特異な才能のあるお子さん方が、いろんな形ではみ出ます。学校に行けている段階で、やはりそのユニバーサルデザインの中だけでは難しい場合には、私は特別支援教育というのが本来そういうこともやれるべきだと思っているんですけれども、それはまた今後の議論になると思いますが、やはり不登校になってしまった方の備えとして、SSRのような取組はとても大事だと思うんですけども、これに関してもやはりどれぐらいのマンパワーが必要なのかということはやっぱり気になるところで、私が関わっている方で不登校になっていると、いろんな学校で相談室だとかそういう形で別の場を設けるんですが、そうするとどうしても人がいないわけですよね。
 だから相談室に生徒はいるけど、先生が誰も構っていないのでぽつんといると、結局つまらなくなっちゃって学校行けなくなるなんていう方は大勢おられるんですが、やはりSSRのような取組がしっかりあると、子供さんが教室には行けないけれども、授業参加できるというか、そういうことが可能になると思うんです。だから、やっぱりこういう仕掛けに対してどのぐらいの人と予算が必要なのかということについての先生の見積りを教えていただきたいということと、あと、こういったSSRを利用される方の中に特異な才能のあるお子さんというのは実際どれぐらいの割合でいるとお考えなのかも教えていただければと思います。
 以上です。
【岩永座長】  ありがとうございました。こちらも順序に従いまして、大谷先生からまず8時間対2時間のお話からちょっとコメントいただけますか。
【大谷校長】  御質問いただいてありがとうございます。
これはあくまでも時間の「割合」で、やっぱり8対2ぐらいなんですよ。今日お示ししたスライドの中にありますとおり、自学・自習も含めるんですが、大体フリースタイルが40、マイプランが45、自学・自習が100ぐらいありますので、そうすると大体200時間ちょいぐらい、ほかが800ぐらいで、このくらいの割合になっています。
 なぜこれくらいになるかというと、実は我々の問題だけではなくて子供の問題なんです。増えると子供は疲れるんですよ、自分で勉強するって結構疲れると子供は言うんですよ。たまたま出張や授業研などが続くと、それが自学・自習、自分で勉強する時間になっていく、自分たちで授業するんですよ。それが3時間あった日があるんですよ。自学・自習とマイプランが重なったんでしたかね。そしたら勘弁してほしいと、疲れる今日は。それを先生たちは毎日やっているんだけど。子供たちはやっぱり1日1時間ぐらい、だから2割ぐらいがいいバランスなのかなと思っています。これはこれから研究ですが、子供たちの話としてそういう感じかなと思っています。
 それから、先生方の負担についてですが、確かにマイプランの始まる前は、10時間だったら10時間の教材研究を一気にやるわけなのでそこは負担が大きいんですが、現実的には毎日やっていることを1回でまとめたというだけの話で、そうすると全部トータルで見たときには、逆に、負担は減ると先生方は言っています。
 しかも、さっき秋田先生から御質問があったときに申し上げましたが、みんなでやるので、1人でやるよりはずっと負担が減り、楽しみながらやれると言ってくださっています。それから、年間でこの辺でやるって決まっていて、段取りを決めてやっていきますので、近くなると毎日みんなが帰りが遅くなるみたいなことはないですし、それは絶対やめてほしいと話をしているので、意外と負担増というふうにはならないんじゃないかなと。先生方が仲よくなるし、始まってしまえば子供たちを本当によく見られる。我々イライラしてくると、「早く早く」と言いたくなるんですけど、そんなこと言う必要ないわけですよ、子供が学んでいるんで。質問が来たら、にこにこして応えるという、こっちも精神的に非常に安定していますので、子供たちに寄り添えるなと思っています。
 FSPは、先生方も研究しています。今回びっくりしたんですが、そのFSPの間に社会の教材研究をして、教材作りをしていた先生がいて、終わったら年表を貼り出しているんですよ、それを。だから、先生方もうまく時間を使って、楽しみながらやれるということで、負担増にはならないんじゃないかなと個人的には思っています。
 すいません、お答えにならないかもしれませんが、以上です。
【岩永座長】  ありがとうございました。それでは、蓮浦センター長、お願いします。
【蓮浦センター長】  ありがとうございます。人と予算がどのくらいというのはなかなか難しいかなと思って聞かせていただきました。
 広島県のSSRのどんな場所なのかというところのお話の中で、利用する児童生徒の伴走者として担当者が決まっているというところ、いつ行っても誰かが迎えてくれる体制を整えることが大切ですよというお話もさせていただいたところですが、ただ、県内全部の学校に加配の先生が配置できるかというと、なかなかそれは現実的には無理かなと思っています。
 ただ、中学校であれば、ある程度、目的というかねらいを共有した上で時間割を工夫して、誰かそこの場所にいるという体制は何とか整えることができるのではないか、整えやすい。全部ができるかどうか分からないんですけど、整えやすいのではないかなと思っておりますが、やはり小学校のほうがどんなふうに人としての体制を整えていくというところは、課題かなというふうには思っているところです。
 予算については、その予算があったら、あることにこしたことはないんですけれども、やはりこれも工夫次第かなというふうには思っています。やはりこのSSRの環境整備の中で、不登校になっている子供たちの状況から教室らしくない場所を目指そうというところで、学校で空いているよく使う学校の机を使うにしても、テーブルクロスというか、上からテーブルクロスをかけるだけで違ってくる。
 ですから、どういった工夫が必要なのかというところで、今ある資源をどんなふうに活用できるのかというところで、少しずつ工夫をしていくというところが大切にすべきところなのかなと思っておりますし、やはり地域をいろいろ探すと、そういったことに協力してくださる方というのはいらっしゃるんじゃないかなというふうには思っています。そこをどんなふうに探して、予算をかけずにやっていくのかというところは、一つ工夫したいかなというふうには思っているところです。
 あと、特定分野に秀でている子がどれぐらいいるかということなんですけれども、これも秀でているレベルがどこまでなのかというところにもよるんですけれども、これはSSRに通っている子ではないですけれども、先ほど少しお話ししましたように、プログラミングがすごい得意で、家で自分でどんどんやっているという子はいました。そういった子がなかなか学校に来れないというところで、大学の先生につないで、その専門家の先生につないだという事例があります。
 あと、化学式で、理科の化学の化学式です。化学式で物をどんどんしゃべっていく生徒というのも実際にいました。私たちが聞いてもその化学式でしゃべっていることが正しいのかすらも分からないという、先生も多分分からないんだと思うんです。正しいのか正しくないのか。そういった子もいたことは確かですけれども、そういったこともできる限りいろんな専門家の先生を当たって、化学式について話ができる方とつないでいくという形で取組を進めていますけれども、そんなに何人もいるという状況ではないかと、これは肌感覚ですけれどもというふうに思っています。
 以上です。
【岩永座長】  ありがとうございました。本田委員よろしいでしょうか。
【本田委員】  どうもありがとうございました。
【岩永座長】  化学式で会話をするというのはすごい魅力ですね。ぜひ会ってみたいような気がしますけれども、どうもありがとうございました。
 時間が、予定の時間よりも過ぎたんですけれども、大島委員からまだ手が挙がっておりますので、ここまでということでさせていただきたいと思います。
 大島委員、よろしくお願いします。
【大島委員】  ありがとうございます。お時間がございませんので、端的に私からはちょっと質問一つになります。
 先生方から本当にすばらしい取組を御紹介いただきまして、すばらしいなと思っていました。本田先生の御質問と私、似たような質問をすることになっていて、もうお答えいただいて限られたその予算、そして人の中でも、こういうすばらしいプログラムをされていて、本当に称賛いたします。
 そのマンパワーの話で、今のところ予算も限られた中でもきちんとできるということをおっしゃっていたんですけど、これはやっぱり持続可能な形にしていくというのが今後大事だと思うんです。やはりこのワーキンググループは特異な才能を持った生徒に対してですけれども、個々の発達段階であったり興味・関心が個々の生徒って違いますので、それに対してやはりその多様なニーズに対して対応するというと、どうしてもある程度個々の対応になって、そうすると時間であったりとか労力というのは増す方向行くと思うんです、減る方向ではなくて。その中で、やはりこれを持続可能にしていくというのはすごい大事だと思っています。
 マンパワーと予算の話は、先ほど本田先生の御質問に答えていただいたんですけれども、やはり学校の先生って、何年かしたら次に移ったりとかってしますので、今のシステム、人員ですよね、ずっと未来永劫していくということは多分無理だと思うんです。
 それで考えると、例えば学校にいる教師の方も大事ですけれども、例えば外部要員をどうやって有効的に活用していくかというのも大事だと思っているんです。サポート要員であったりとか外部人材としても、先ほど中島委員からあったような大学であったりとか自治体、そういう人たちもある程度入っていただくということが必要なのかなと思っていて、そういうことを今後考えていらっしゃるのかということと、あともう一つは、やはりこういうことに関わっている先生とかに対しての評価、多分インセンティブをある程度していくことによって、先生方もさらにこういうことに取り組んでいきたいということになってくるかと思うんです。
 なのでやはりメリットとしてどういうところがあるのかなということを、そのインセンティブとしてどういうふうに考えていらっしゃるのかということをお聞かせいただけたらなと思っております。よろしくお願いいたします。
【岩永座長】  よろしいですか。ありがとうございました。
 大谷先生、いかがでしょうか、今の御質問に対して、お願いします。
【大谷校長】  私のところですか。外部人材というのはやっぱり我々生活科をずっとやったわけですけど、なぜ今そんなに入ることが先にあるわけではないので、子供たちが必要だと言えば入るし、外部人材が入るとすごく楽になる部分と、逆に大変になる部分もあるので、入れることが優先するのではなくて、子供たちが必要だと言うかどうか、それから先生方が必要だと言うかどうか。
 今、緒川小さんが実践なさったときよりも、いわゆるインターネットとかそういうものが使えることによって、人が中に入ってこなくても人とつながれるということは非常に多くなってきています。
 子供たちも、インターネットの中でやり取りをしながら、最終的にやっぱり会いたいとなればお願いするということもありますので、昔、我々がつくったような人材バンクをつくって一覧表にしておいて、いざというときはみたいなのが本当に必要なのかどうかというのは、逆にちょっと考えなくちゃいけないかなと。つまり人と人とがうまくいくって実はすごく難しいことなんですよ。みんな協力してくださるんですけど、ここまでお願いしますとかそういう打合せというのは実はすごく難しいし、労力が要るし、人との相性もありますし、ですから、何回もしつこいですけど、子供たちが求めるかどうかということを私は個人的には考えます。
 将来的には、たくさんの方に御協力いただこうとは思っていますし、していただくのはありがたいと思います。私のところはそのくらいですかね。
【岩永座長】  異動、公立学校の場合にはどうしても異動というものが伴うんですよね、先生方が。それに習熟したりとても慣れてきた人が、次の年にはほかのところへ行ってしまうことについては、どのように考えておられますか。
【大谷校長】  これこそ言っていいのかどうか分からないですけど、私、4月に会ったときに職員会議で毎年言うのは、学校の先生は1年契約なので、今年は同じチームに入ったんだから、みんなで優勝目指しましょうということ。毎年、本校の規模ですと3分の1ずつ替わってきますので、私が先生方にいつもお話ししているのは、この学校で学んだことを次の学校へ行って広めてほしい、1人でもやれるようになって出ていってほしいということです。形としては、今やっていることを来年もやるとは思っていないので、それは来年のメンバーがまた考えればいいだけの話で、理念だけを生かしていってほしいと考えていますので。
【岩永座長】  だから、むしろあれですね、そういう異動があるということは、天童中部小学校の実践が広がっていく一つの要素になるということで、ポジティブに考えておられると考えてよろしいですか。
【大谷校長】  積極的に出てほしいと思います。よく分かるようになった人から積極的にて広めてほしいと思います。だから、エース級の人から出てもらっていいと思っています。
【岩永座長】  すごいですね。
【大島委員】  すばらしいですね。
【岩永座長】  ありがとうございました。それでは、蓮浦センター長お願いします。
【蓮浦センター長】  私ども広島県ということでございますので、今おっしゃっていただいた異動というのはやっぱりいいほうに考えていきたいなと思っています。今のSSRの指定校で学んでくださったことを、ほかの学校に行ってどんどん広げていっていただきたいという思いが強いです。
 今始めて3年目ですので、少しずつノウハウというか、こうやったらうまくいく、ここがちょっと最初の課題でここをうまくやらないとうまく回らないみたいなところのノウハウの蓄積というのは徐々にできてきているかなと思っていますので、それをやっぱりしっかりと今までやってきていない学校に広めていって、まずは第一歩踏み出していただくというところが、大切にしていきたいところかなと思います。
 おっしゃられるとおり、人や予算が永続的に続くというのはどうしても難しい面がございますので、そこのやっぱり蓄積というのをしっかり広めていくというところを大切にしていきたいな、そのために異動というのもネガティブではなくてポジティブに捉えてやっていけたらなと思っています。
 あと、地域人材の活用であるとか、いろんな外部の方々に協力をしていただくということについて、やはり大谷校長先生もおっしゃられたように、子供たちを中心に考えたときにどうなのかというところで、今まで慣例でやってきていなかったからというところがどうしても出てくる場合があるんですけれども、子供たちを中心に考えたときに、一回、発想の転換というか、できることとできないことが最終的にはあるとは思うんですけれども、やっぱり発想としてはタブーをなくして、どんなことができるのかということを考えた上で、じゃあ何をやるかというところを考えていくというところが、今後より必要になってくるかなと思います。
 以上です。
【岩永座長】  ありがとうございました。
【大島委員】  何か改めてそのオンラインのそういうICTとの教材化と、今おっしゃっていたようなところというのは、人を含めてやはりモデル化していくって結構大事なのかなって改めて思いました。
 非常にすばらしい取組なので、やはりこれを広げていくって改めて大事なんだなと思いました。ありがとうございました。
【岩永座長】  ありがとうございました。松村先生から手が挙がっていますが、手短にお願いします。
【松村委員】  すいません、蓮浦先生に質問を残していまして、前から気になっていまして、どうしてもお伺いしておきたいんですが、有識者会議でのアンケートでは、才能のある子は、授業が易し過ぎて苦痛で、不登校になっちゃったと。そういういわゆる「浮きこぼれ」の子が結構いたわけですけれども、一方で、文科省の「不登校児童生徒の実態調査」では、そういうのが全く表れていません。
 そこでの調査の対象は、その時点で学校に登校していたり、教育支援センターに通所している子供だったのです。ということは、そういう才能のある浮きこぼれの子はSSRとかを飛ばしちゃうというか、もっと外へ出てしまうのかなと。
 そうすると、やっぱりもっとその居場所のフリースクールとかとの連携で、そういう子供に注目して何とか支援していただきたいなという思いがあるんですが、SSRあたりでは、そういう浮きこぼれの子は出てこないというのはどういうふうにお考えでしょうか。
【岩永座長】  蓮浦センター長、お願いできますか。
【蓮浦センター長】  SSRに出てこない子供をやっぱり拾い切れていないのも、もしかしたらあるのかもしれないなと思っています。
 今、やっぱりSSRに通ってきていたりとか、それともまたは教育支援センターに来たりとか、フリースクールに通ってきている子というのは何らか社会的なつながりが持てている子で、今、文科省からの通知でもありますように出席扱いにできるかということから考えていくと、やはり自宅に引きこもっているというか、なかなか自宅から出れずにつながりが持てない子とどんなふうなつながりを持っていくのか。そういった子たちの中には、もしかしたら今おっしゃられるような子供たちはいるのかもしれないなと思っています。
 今回、GIGAスクール構想で1人1台端末というところが通知されておりますから、やっぱりオンラインをより効果的に活用できる取組を今後行っていく必要があるかなと思っています。ただ、家庭訪問して、タブレットを持ってきたよ、一緒に勉強できるよということでは、おそくつながってこないんじゃないかなと思いますので、そういった子供たちが今何に興味・関心を持っているのかというところをしっかり探った上で、プログラミングが好きとか、さっきの化学式が好きとか、じゃあ化学式について話してみようということであればつながることができるかもしれない。
 そういった一人一人の何に興味・関心を持っていて、何に秀でているのかというところをしっかり把握をした上で、オンラインでつなぐ。ただ、オンラインでつながるだけでも駄目だと思うんです。今回の私どもが行っている学びプログラムやクラブ活動というのは、SSRというリアルの場があって、オンラインがあるという両面必要なのかなと思っていますので、オンラインでつながりつつもリアル、プラスアルファ、リアルとどうつなげていくのかというところが、今後のポイントになるところかなと感じております。
 すいません、答えになっていないかもしれませんが、ありがとうございました。
【岩永座長】  ありがとうございました。松村先生、よろしいですか。
 大変申し訳ないですけれども、時間も大幅にオーバーしてしまいましたが、実は今回の趣旨としましては、お二人の御発表を伺って、それへの質問によっていろんなことを明らかにした上で、論点整理で示された各論点について、特に教室、学校内での対応策について、委員の先生方から積極的により具体的な方策を検討する御意見をいただくというところまで考えていたんですけれども、とてもお二方の発表の魅力というか、内容というか、非常に充実しておりましたので、そこまでいきませんでした。大変申し訳ございませんでした。
 ただ、そこは大変大事なところなので、一番初めに申し述べましたように、今回の第7回は、先ほどの一番初めに示したマトリックスの左側について議論するというお話でしたけれども、次回、8回はその右側についてお話を伺うということを企画しておりますので、次回の8回のヒアリングを終えた後で、御発表を聞いた後で、今回のものも思い出しながら積極的な対応策、積極的な御意見というのを伺うということにさせていただきたいと思います。
 そういう趣旨で今日のヒアリングは設定していたんですけれども、その後ろの部分の時間が取れませんでした。これはひとえに私の進行の拙いところだと思います。おわび申し上げます。
 ということで、ぜひ今回のお話を伺ったところを踏まえながら、次回のものも聞いて、伺って、それから、じゃあどうしたらいいのかという辺りを議論していただきたいなと思っております。
 時間になりましたので、この辺りで議論を終了したいと思います。
 御発表いただいた大谷先生、それから、蓮浦センター長、本当にどうもありがとうございました。御参加いただいた委員の皆さんもありがとうございました。本日の議事は以上とさせていただきます。
 最後に次回の予定等について事務局からお願いがあります。よろしくお願いします。
【川口学校教育官】  次回会議、第8回については、3月17日木曜日13時から15時で行うことを予定しております。
 以上です。
【岩永座長】  ありがとうございました。次回の会議においては、主に学校外における対応について議論をすると、先ほどのマトリックスのとおりに進めたいと思います。
 それでは、本日予定した議事は全て終了しましたので、これで閉会ということにいたしたいと思います。ありがとうございました。
 
―― 了 ――