G7教育相会合で日本発ウェルビーイングの発信を 自民党が要望

G7教育相会合で日本発ウェルビーイングの発信を 自民党が要望
面会後取材に応じる上野委員長(右)ら
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 来年5月のG7サミットに伴い開催されるG7教育大臣会合に向けて、自民党日本Well-being計画推進特命委員会の議員が11月10日、文科省で永岡桂子文科相と面会し、日本の価値観に基づくウェルビーイングを会合の場で発信することなどを求める要望書を提出した。同委員会の上野通子委員長は「まだまだウェルビーイングが日本全体に浸透していない。教育環境から子どもたちがウェルビーイングを感じるようになれば、国全体に広がっていくと思う」と意義を説明した。

 要望書は、次期教育振興基本計画における議論を踏まえ、わが国発の価値観に基づく教育とウェルビーイングの方向性をG7教育大臣会合の場で発信し、子どものウェルビーイングに関する国際的なコンセプトや指標設定において、イニシアチブを発揮することを求める内容。

 このほかに、▽共生社会の学びや体験活動などウェルビーイング向上につながる学習機会の充実▽子どもたちのウェルビーイングを向上させるための地域や学校の活動を支えるコーディネーター人材の育成▽シチズンシップ教育を通じた社会参加型の活動を通じた子どもたちのウェルビーイングの向上▽日本が提唱した「持続可能な開発のための教育(ESD)」の一層の推進ーーなどを盛り込んでいる。

 面会後、取材に応じた上野委員長は永岡文科相が「さまざまな教育の発信の中で、ウェルビーイングの教育もしっかり入れる」と答えたことを明かした。その上で「女性が首相を務めるなど、女性が頑張っている国はウェルビーイングを真剣に考えている国が多い。永岡文科相も女性なので、ぜひともそのパワーで、幸せを感じる国作りがどれだけ必要か、教育を通して発信してほしい」と期待感を示した。

  現在、策定作業が進められている次期教育振興基本計画(2023~27年度)において、基本的な方針の一つに「日本社会に根差したウェルビーイングの向上・共生社会の実現に向けた教育の推進」が掲げられている。11月4日の中教審部会で示された修正素案では、自尊感情や自己効力感の高さに裏付けられた「獲得的幸福」と人とのつながりや思いやりなどを重視する「協調的幸福」のバランスが取れた「日本発」のウェルビーイングを目指すとした。

 その構成要素として、「幸福感(現在と将来、自分と周りの他者)」「開放的協調性と多様なつながり」「自己肯定感と自己実現」「安全・安心な環境」などを挙げ、その上で、これらを教育を通じて向上させるのが重要と記載。加えて、子どもたちのウェルビーイングを高めるためには、教員のウェルビーイングを確保することが不可欠とし、職場の心理的安全性が保たれ、労働環境などが良い状態であることが求められると記している。

 また9月に行われた中教審部会では、永田恭介副部会長(筑波大学長)が「政府は、日本人が考える幸せはこういうものである、と世界に訴えなければならない。それは欧米的なものとの対立概念ではなく、日本もまた、世界のウェルビーイングの一角を成していると堂々と言っておかないといけない」と指摘していた。

 G7教育大臣会合は来年5月12~15日に富山県と石川県で開催。議論する具体的なテーマについては、永岡文科相が9月16日の閣議後会見で、「コロナ禍が社会にもたらした影響・変化や、教育がどのように対応し、ポストコロナの社会で求められる人材を育てていくのかということが、大きな柱となるのではないかと思っている」と述べている。

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