都教委、いじめ対策で諮問 アンケートなど学校の対応が鍵に

都教委、いじめ対策で諮問 アンケートなど学校の対応が鍵に
いじめ問題対策委への諮問事項を決定した都教委の第16回定例会
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 東京都教育委員会は11月10日、付属機関である東京都教委いじめ問題対策委員会(第5期)への諮問事項を、第16回定例会で決定した。7月の同委員会の答申を受け、いじめ防止の取り組みの検証・評価、対策の推進を議論する。東京都では2021年度、いじめの認知件数が再び増加に転じており、小中学校ではアンケート調査などの学校の取り組みが発見のきっかけになるケースが最も多くなっている。定例会で委員からは、未然防止だけでなく早期対応の大切さを指摘する意見や、教員の多忙化を懸念する意見などが出された。

 東京都が10月27日に公表した「21年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果によれば、21年度のいじめ認知件数は5万9835件と、2年ぶりに増加した。小中学校では9割近くの学校がいじめを認知。被害者の相談先はいずれの校種でも学級担任が一番多く、スクールカウンセラーや学校外の相談機関は少なかった。

 東京都教委いじめ問題対策委員会(第4期)は今年7月の答申で▽発達の段階に応じたいじめ防止などの具体的取り組みにかかわる検討▽教員が元気になるような研修など、学びの場の創出▽特別の教科 道徳の授業、特別活動の質の向上▽SOSの出し方に関する教育の見直し――などを方策として提言していた。

 委員からは「いじめはどうしても起こってしまうものだ。まずはいじめが起きたという事実をしっかり認識することが大事で、処罰が必要かどうかは段階を分けて対応すべき。そこを混同して考えると保身や隠ぺいに走りがちになる」「教員が子供と接する時間と余裕が、いじめを感知するセンサーを働かせるためには重要。研修を増やすだけでは負担が大きいため、他の研修も含めて全体的な見直しを図るべき」などの意見が出た。

 また前出の問題行動調査で、いじめの発見のきっかけとして「アンケート調査など学校の取り組み」が最も多く、小学校で76.8%、中学校で64.8%に上ったことを踏まえ、「どの時期にアンケートを取るのが最も子供の命を救うかを考えながら、効果的な時期を検討してほしい」「小さい子供たちは(嫌な思いをしたことを)忘れてしまうこともあり、調査時に言語化して表現できないこともある。嫌な思いをしたことを、どうキャッチするかが大事になる」といった発言が委員からあった。

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