保育所で性別違和の子にいじめ 大津市の第三者委が認定

保育所で性別違和の子にいじめ 大津市の第三者委が認定
iStock.com/CraigRJD
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 大津市のいじめ問題に関する第三者委員会である「大津の子どもをいじめから守る委員会」は7月6日、性別違和のある市立保育所に通っていた園児が、他の子どもから服装をからかわれるなどの11件のいじめを受けていたとする報告書を市に提出した。いじめ防止対策推進法では対象に含まれていない保育所のいじめ事案を自治体の第三者委が調査するのは極めて異例だが、就学前段階からいじめは起きるとして、第三者委は保育所や幼稚園、認定こども園などで再発防止策に取り組むよう求めている。

 児童側からの申し入れを受けた第三者委では、未就学児はいじめ防止対策推進法などで規定されている対象ではないものの、未就学児であってもいじめやいじめに近い状態は起こり得るものであり、未就学児でいじめという事態を一切認めないのは、かえって未就学児の心身の成長にとって好ましくないと判断し、調査を開始。関係資料や保育所の関係者などから聞き取りを行った。

 戸籍上、児童は男性だが、性自認は女性という性別違和であり、4歳児クラス・5歳児クラスにいたときに、一般的には女子が好む服装をして登園したところ、他の園児から「男なのに女の格好をしている」などとからかわれたり、遊びの中で仲間外れにされたりするなどの行為を、報告書ではいじめに該当すると認定。さらに、これらが原因で5歳児クラスの途中から「不登園」となったことは、いじめ防止対策推進法に定める「不登校重大事態」に相当すると考えられるとした。

 その上で、保育所ではこの児童について記されるべき事実が適切に記録されておらず、情報共有などに課題があったと指摘。いじめやLGBTQに関する体系的な知識を保育士の全員が十分に持っていたわけではなかったとして、リスクマネジメントや研修の体制見直しを提言し、問題が起きた初期段階で、保育士は児童に対して事実と感情を聞き取り、双方の感情のずれを埋めていくための指導・支援を丁寧に行っていく必要があるとも強調した。

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